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初投稿です。 虐待ほとんどありません。善良で厨スペックなゆっくりだらけです。 ゆっくりが喋りすぎです。主にゲロ袋。 おうたネタで考えていたのにどうしてこんなことになってしまったんだ。 れいむは旅をする。 ゆっくりおうたをうたうために。 れいむは旅をする。 ゆっくりおうたをつくるために。 「ゆゆーん!きのこさんがこんなにあつまったよ!」 「おさ、このきのこさんはたべられる?」 「いいえ、それはどくきのこよ。でもまざらないようにあつめてちょうだい」 「ゆっくりりかいしたよ!」 晩秋。 冬篭りを前に、巣穴を整備し、食料を集める。ゆっくりが最もゆっくりしていない時期。 このゆっくりの群れは、優秀なぱちゅりーを長とし、既に十分な量の備蓄を備えていたが、 今年の冬は長引きそうなことと、越冬に失敗した他の群れを受け入れる体制を整えるため、 普通の群れであれば2年は食いつなぐことができるほどの食料を集めていた。 れいむがやってきたのは、そんな群れである。 「ゆっ?みなれないれいむがいるのぜ?」 れいむに声をかけたのは、おぼうしに山のように茸を積んだまりさであった。 力が強いのだろう。自分の体積以上の茸を抱えながら、動きが鈍る様子もない。 「あら、すっごくとかいはなれいむね」 好色そうな声を上げたのはありす。れいむを美ゆっくりと見るやたちまちこうだ。 そのありす自身もゆっくりの基準からすれば相当な美ゆっくりである。 「ゆっくりしていってね!」 れいむが声をかけると、たちまち群れのゆっくりが集まってきた。 「うわあ……すごくゆっくりしたれいむだよぉ……」 子ゆっくりはおろか、つがいがいるであろう成体ゆっくりすられいむに見とれている。 真っ白でもちもちとした肌、キューティクルのかかったすべらかな髪、 燃えるような赤と純白のコントラストが美しいおりぼん。 飼いゆっくりですらここまでの美ゆっくりはそうはいない、まさに完璧なれいむだった。 「むきゅ、ようこそれいむ。わたしたちはあなたをかんげいするわ」 温和そうな長ぱちゅりーが、れいむを出迎えた。 しかし、れいむはこの群れの態度に不思議そうな顔をする。 これほどに統率の取れた群れにしては警戒心が薄すぎる。 見ず知らずのゆっくりに対し、これほど無防備な群れをれいむは知らない。 「どうして?ってかおをしているわね」 そんなれいむの胸中を見透かしたかのように長ぱちゅりーが言った。 「ごめんなさいれいむ。あなたがくることはきのうからしっていたのよ」 ぱちゅりーが言うには、この群れは非常に遠くまで哨戒を置くことで外敵に備えているらしい。 彼ら独自の手旗信号のようなものを使い、情報を素早く伝達する。 これにより、ゆっくりの足でなら1日もかかるような距離まで警戒域を広めているのだそうだ。 れいむは、そのネットワークにより、悪意の無いゆっくりであると認識されていた。 「もうすぐふゆさんがくるよ。そのあいだ、れいむをここでゆっくりさせてほしいよ」 「むきゅ、それはかまわないわ。でも……」 「はたらかざるものくうべからずなのぜ」 厳しい口調で言うのは補佐役のまりさ。長の口から言いづらい、辛辣な意見を言う役目を担っている。 「かりはどうなのぜ?そのきれいなあんよではしりまわれるのかだぜ?」 「かりはとくいじゃないよ。ここまでくるのもたいへんだったよ」 「なら、やくそうのちしきはある?たびをしてきたんでしょう?」 「ちしきはあるけど、ぱちゅりーほどじゃないよ」 「これだけのびゆっくりならありすのおよめさんになってもいいわよ」 「すっきりーはできないよ。ほら」 れいむが少し顎を上げると、そこには何もなかった。ぺにぺにも、まむまむも。あにゃるも。 古い種の中には、そういったゆっくりが稀にいる。 「あにゃるがないのぜ?これじゃうんうんができないのぜ!」 「うんうんはしないよ。ごはんもたべないよ」 れいむは古代種の中でも、特に起源に近いゆっくりのようだ。 生物としての苦しみと無縁な一方、赤ちゃんやむーしゃむーしゃしあわせーといった 生きているからこその幸福からも遠い。とてもゆっくりしていて、ゆっくりしていないゆっくり。 「めずらしいわね。ぱちぇもはなしにはきいていたけど、みるのははじめてだわ」 「ごはんをたべなくても、はたらかないわけにはいかないのぜ、みんなにしめしがつかないのぜ。 れいむはなにができるのぜ?」 「おうたを」 「ゆ?」 「れいむはおうたをうたうことができるよ」 補佐まりさは失笑した。 歌であればたしかにれいむ種が得意とするところであるが、所詮歌は歌にすぎない。 おちびちゃんたちをゆっくりさせる役には立つかもしれないが、 そもそも子供を生まない古代種に子守ができるとも思えない。 幸いにも食事をせずとも良いそうだし、春になったら群れから追い出すしかないか…… そんなことを考えているうちに、れいむのおうたが始まった。 一時間ほどたっただろうか。 補佐まりさは泣いていた。 群れを守るために戦った勇敢なまりさ。 しんぐるまざーでありながら立派に子供を育てきったれいむ。 生まれながらにれいぱーの疑いをかけられた悲劇のありす。 らんしゃまとの大恋愛を成就させたちぇん。 仲間の敵を取るために剣鬼と化したみょん。 智謀の限りを尽くし群れを育てたぱちゅりー。 歌に乗せてれいむの口から紡がれる数々の物語が、場にいるゆっくりをすっかり虜にしていた。 「ゆぐっ……ゆぐっ…………とっても、とってもとかいはなおうただわあああああ」 もとより感情豊かなありすは、大声を上げて泣いている。 子ゆっくり達は、涙の他にちーちーを漏らした形跡もある。 群れが襲われるシーンは、幼いゆっくりには刺激が強すぎたようだ。 長として、いつだって冷静なぱちゅりーも、体を震わせて涙をこらえている。 「そうだったわ……ふゆごもりは、たいくつだったのよ」 ややあって口を開いたぱちゅりーは、かつての冬篭りを思い出したかのように言った。 「くらいおうちのなかで、いつなくなるかわからないごはんをたべて…… でも、ことしのふゆさんは、そうじゃないみたい。ね?まりさ」 「ゆぐっ……すごくゆっくりしたおうただったよ…… これならふゆのあいだじゅうきいていたいぐらいだよ……」 「ありがとうまりさ。これでなんのもんだいもないわね。では……」 改めて、長ぱちゅりーは、群れの皆に聞こえるほどの大声で。 「ようこそれいむ。わたしたちはあなたをかんげいするわ」 れいむを受け入れた。 れいむが群れに来てから数日がたった。 餡子のどこにそれほどの記憶を蓄えているのだろう。 れいむは夜ごとに新しいおうたを歌い、それを聴くゆっくり達は 様々な世界、様々なゆっくりに思いを馳せて眠りにつくのが習慣になっていた。 もっとも、生物ゆっくりの記憶力では、三日ごとに同じおうたを歌っても気づかなかっただろうが。 事件が起こったのはそんな時である。 哨戒にあたっていたゆっくりから、れみりゃの大群が群れに向かっているという報告があった。 遅くとも、明日には群れまでたどり着くだろう。 群れは騒然となった。 しかしそこは統率の取れた群れ。決して恐慌状態とはならず、ただちに対策会議が開かれた。 れみりゃ達の移動速度、こちらの群れの規模からして、群れを破棄して全てのゆっくりが逃げることは不可能。 下された決断は、あまりに悲痛なものだった。 子ゆっくりや、にんっしんっ!しているゆっくりは今夜のうちから群れを離れ、 れみりゃとは別方向に逃げ、身を隠す。 残ったゆっくりは、そちらへれみりゃが向かわないよう、誘導しながら迎え撃つ。 戦えるゆっくりは、襲い来るれみりゃに対して約二倍。 各個撃破を心がけたとしても、戦況は絶望的であった。 哨戒のために散っているゆっくり達を急いで召集しても、間に合うのはわずかだろう。 「おさ!ゆっくりいそいでかえってきたみょん!」 そう言って巣に飛び込んできたのは、手旗の中継をしていたみょん。 れみりゃ襲撃の報を伝えた後、急いで戻ってきたのだ。 「むきゅ……おつかれさま。みょん。……ちぇんは……?」 長ぱちゅりーが聞いているのは、れみりゃの第一発見者となったちぇんのことだ。 「さいごのれんらくは……いちびょうでもれみりゃをくいとめる、だったみょん…… それと、『らんしゃま、だいすきだよ』とつたえてほしいって……」 「ちぇん……ちぇえええん……」 泣き崩れるのは、ちぇんのつがいだったらん。 「ないているひまはないわ。らんもおちびちゃんたちといっしょににげるのよ」 「……ちぇんのかたきをとる。わたしのちからなられみりゃにもひけをとらない」 れみりゃ以上の希少種であるらんなら、確かに実力はれみりゃを超えているだろう。 しかしそれは一対一での話である。 「だめよ。らんのおなかにはちぇんのこどもがいるわ。そのいのちをまもることこそがらんのつとめよ」 らんを欠いては更に戦況が不利になるのは分かっている。しかし、ぱちゅりーにはこれが最善だと思えた。 「れいむ。あなたもおにげなさい。きゃくじんをまきこむわけにはいかないわ」 「れいむには、みとどけるぎむがあるよ。それにれいむはしなないから」 一体どれほどの死を見届けてきたのか。古代種の小憎らしい表情からは窺うことができない。 「そう……なら、つたえてほしいわ。わたしたちが、ゆうかんにたたかったことを。 れみりゃとたたかった、すごくゆっくりしたむれだったことを」 「わかったよ。ずっとずっとうたいつづけるよ。 れいむだけじゃなく、おちびちゃんたちもかたりつづけるよ」 「ふふ。まいにちおなじはなしをきいていると、うんざりしてしまいそうだわ」 どっと場が沸く。 死を目前に控えているとは思えない、明るいゆっくり達。 ゆっくりとは本来明るい気質であるはずなのだ。 悲劇が日常と化し、辛い現実にいつしかゆっくりを忘れてしまっていた彼らに、 ここ数日間でそれを思い出させたのは、他ならぬれいむであった。 想像とは、生きるための活力を与える糧たりうるのだ。 翌日。 れみりゃとの前面戦争を前にして、広場に皆を集めたぱちゅりー。 「みなのもの、ただのひとりもかけることなく、よくぞつどってくれtゆぴぃ!」 舌を噛んだぱちゅりーに、笑ったのは若いまりさたち。 「ゆふふ、なれないことばをつかわなくても、いつもどおりにしゃべってくれればいいよ」 「むきゅ……こほん。みんな、よくあつまってくれたわ。たいへんなことになったわね。 あいてはとてもおそろしいれみりゃ。たたかったら、ぶじにはすまないわ。 れみりゃのはねは、ゆっくりできないはやさでとんでくるためにあるし、 するどいきばは、ゆっくりのかわなんてかんたんにつきやぶってしまう。 つかまったがさいご。あんこをぜんぶすいとられてころされてしまうわ」 淡々と述べられる恐ろしい言葉は、誇張ではない確かな現実。 「でも、わたしはしっている。れみりゃだってけっしてむてきではないことを。 はねをもがれ、ぶざまにちをはうれみりゃのすがたを、わたしはしっている。 ゆうかんなゆっくりのただのいちげきで、ないてかえったれみりゃもいる。 かてるとはいわない。けれど、たたかうことはできる。 かくれているこどもたち、まだうまれてもいないおちびちゃんたち。 あのこたちをまもることが、あなたたちにかせられたしめいであるのなら」 一息。 「さいごまでたたかいぬくことが、ゆっくりできるゆいいつのほうほうだとしりなさい! しんだゆっくりは、そこにいるれいむが、えいゆうとしてずっとかたりつぐわ! しぬことはこわいことじゃない。えいえんにゆっくりすることなのよ!」 「「「ゆっくり!!ゆっくり!!ゆっくりしていってね!!!」」」 「よろしい!それでこそゆっくりよ!ゆっくりのためならしすらいとわない、 ほんとうにゆっくりしたゆっくりにあなたたちはなれたのよ! あなたたちはしぬわ。でもゆっくりはえいえんだわ。つまり――あなたたちもえいえんなのよ!」 「こほん――こほん」 慣れない大演説のためか、すこし青ざめたぱちゅりーが、木の洞を利用した天然の櫓の上で咳き込んでいる。 「ぱちゅりーはむれのだいじなずのうだよ。みんながいなくなったら、おちびちゃんだけになってしまう。 こどもたちをみちびくために、いっしょににげたほうがよかったとおもうよ」 れいむはそう言うが、ぱちゅりーはかぶりを振る。 「れいむ。さっき、ぱちぇがしたをかんだとき、わらったゆっくりがいたわね」 「まだおとなになったばかりのまりさたちだね。のんきなものだよ」 「かれらは、まっさきにれみりゃにとびかかるやくなのよ」 「それじゃあ……」 「ええ。かくじつにしぬわ。まんがいちすらない。かくじつにしぬためだけのやくわり。 きのう、このことをきいたとき、きっとかれらはくるしんだとおもうわ。 ぱちぇをうらんだかもしれない。まりさじゃなくて、わたしのくちからつたえたから。 ほんとうにつらいことをいうときにはまりさにはたよらない。おさであるぱちぇがいわなければならない。 でも、きょう、ここにきたとき、かれらはわらっていたわ。 しをうけいれたのよ。 さっきもいったとおり、おちびちゃんはとてもとてもだいじ。 でも、ゆっくりのあしたのためにたたかうせんしも、おなじようにかけがえのないたからなの。 そんなたからにしねというとんでもないげすゆっくりのぱちぇが――おめおめといきていていいわけがないわ」 いつもの温和なぱちゅりーではない。瞳には決意の炎が燃えている。 「ぱちぇはいくわ。れいむはここでみていて。あますことなく、すべてを、そのめで、みていて」 「れみりゃだあああああああああああ!!!!」 決戦の幕は切って落とされた。 若く、まだ体が十分に大きくないゆっくりがまずれみりゃに飛びかかる。 もちろん敵うわけもなく、あっさりと渾身の体当たりを止められ、その身に牙を突き立てられる。 「ゆぎゃあああああ!!!」 「ゆぎぎぎぎぎ……」 「ゆっゆっゆっゆっ……」 急激に中身を吸われ、たちまちしぼんでいく年若いゆっくり達。 だが、捕食活動を行っている時こそれみりゃに隙が生まれる。 間髪入れず、力の強いゆっくりがれみりゃの羽に取り縋る。 バランスを崩したれみりゃは地面へと落ち、体当たりの集中砲火を受けて潰される。 無論これは運の良い場合。 ゆっくりを捕まえたまま飛び上がり、石や死骸を落として攻撃してくるれみりゃもいる。 空からの攻撃に無力なゆっくり達は、たちまちその数を減らしていく。 「やめてえええ!!」 「ばでぃざのあんよがああああ!」 「つぶれるうううううう!!」 予想通り、戦況は極めて不利であった。 「んほおおおおお!!」 本能により肉体の持つポテンシャルを全て解放し、いきり立ったぺにぺにを武器として戦うありす達。 幾本ものぺにぺにを無造作に突き立てられ絶命するれみりゃ。 しかし、れいぱーとしての力を解放したありす種であっても、捕食種相手では分が悪い。 たとえ攻撃力が同等であっても、機動力の差はやはり致命的だ。 「う~☆ぷっでぃんみたいでおいしいんだどぉ~♪」 カスタードを中身に持つありす種は、れみりゃにとっては好物だったのだろうか。 優先的に狙われたありす種の部隊は、れいむに求婚したありすを除いて全滅していた。 「そろそろねんぐのおさめどきかしらね」 一撃でれみりゃの中枢餡を貫いた自慢のぺにぺにを引き抜きながら、ありすは呟いた。 眼前には三匹のれみりゃ。 「う~☆たべちゃうぞ~♪」 「んほおおおお!」 正面の一匹の突進に合わせ、ありすも走る。 互いの速度を利用して、今まさに噛み付かんとするれみりゃの口内に、一気にぺにぺにを突き刺す。 ぺにぺには見事中枢餡を破壊し、れみりゃは動かなくなった。 だが、その代償として、牙を突き立てられ、ずたずたになったぺにぺに。 もう中枢餡に届くほどの剛直は望むべくもない。 あと、二匹。 「あまあまぁ~♪」 れみりゃがありすに齧り付いた。カスタードを吸い上げられるありす。 だがありすは怯まない。噛み付かれたそのままの体勢で、ありすはれみりゃの眼球にぺにぺにを突き立てる。 「う゛ぁぁぁ~!でびりゃのきゅーとなおめめがあああ!!!」 やはり先ほどの威力はない。これではれみりゃを殺すには至らない。 それでもありすは不敵に笑った。 「すっとろいことしてんじゃないわよ、このいなかものがああああ!!!」 信じられないことにありすは、カスタードを吸われながら、さらに精子餡を吹き上げた。 自身が喰えるだけの容量を超えたカスタードの流入に、れみりゃの体は耐え切れず四散した。 大量の中身を放出し、ほどんど皮だけの饅頭になったありす。 しかし、まだ生きている。死ぬわけにはいかない。 あと、一匹。 残ったれみりゃはまだ子れみりゃであった。 それがれみりゃにとっては不幸であり、ありすにとっては幸運だった。 たった今目の前で四散したのは母。衝撃的な光景が、子れみりゃの動きを一瞬だけ止めた。 それゆえ、即座にありすにとどめを刺すことができなかった。 それが命取りだった。 「んほおおおおお!!!!」 這うような動きであったが、ありすはれみりゃに覆いかぶさることができた。 ほとんど中身が無いとはいえ、皮もそれなりの重量物。 子れみりゃではそう簡単に振りほどくことはできない。 ありすは、残されたカスタードの全てを使って、小刻みに振動を始めた。 もう考えるだけのカスタードも残されてはいない。最期の最期、本能に刻み込まれた行為。 レイプ。 最早見る影もないほど細く、傷だらけのぺにぺに。 けれども、そこにはありすの残ったカスタードが全て詰まっている。 ありすが全てそこにいる。 「まぁんまぁ~!!こあいどぉぉ~!!!」 子れみりゃのまむまむに、ありすのぺにぺにが出入りする。 れみりゃの肌が黒ずんでいく。 びくん、とありすの体が跳ねる。 「う゛ぁぁぁー!!」 ありすの最期の生命の灯を受け取ったれみりゃが、痛々しいまでの悲鳴を上げる。 後には、皮だけのありすと、枯れた茎を生やした黒い塊が残っていた。 みょんも勇敢に戦っていた。 木の枝を振り回し、空中のれみりゃのあんよを傷つけていく。 だが深手にはならない。その上れみりゃ達以上にこちらは疲弊していく。 仲間は次々と倒れ、みょん自身も投石により傷を負う。 (らん、ごめんだみょん。ちぇんのかたきはとれそうにないみょん) 抵抗できないことを確認したのか、一匹のれみりゃがみょんに近づく。 これまでか――みょんが覚悟を決めたそのとき。 「うあっ!?」 れみりゃの体が大きく吹き飛ばされ、木の幹に激突した。そのまま中身を吐き出し、動かなくなる。 これほどに力のあるゆっくりに、みょんは一匹だけ心当たりがあった。 「まりささまがきたからには、もうだいじょうぶなのぜ」 長の補佐役も務める、群れで一番の力持ちのまりさであった。 れみりゃを吹き飛ばすほどの力を脅威と捉えたのか、れみりゃ達はまりさを囲んで円陣を組む。 「みょんもさいごまでたたかうみょん……」 「けがにんのみょんはそこでみているのぜ。まりささまのつよさをおもいしるがいいのぜ」 そう言って、まりさは自身を取り囲むれみりゃに突撃する。 直線的なまりさの攻撃は、れみりゃが少し飛び上がれば回避されてしまう。 「かかったのぜ!」 しかしれみりゃが攻撃を回避した瞬間、まりさは垂直に跳んだ。 真下からの強烈なヘッドバット。れみりゃは体勢を崩したまま上空へと打ち上げられる。 そして落ちる直前に先ほどの体当たり。吹き飛ばされたれみりゃは木の枝に突き刺さり、そのまま絶命した。 れみりゃ達とてただ黙ってやられているわけではない。 距離をとることが不利になると判断し、一気にまりさに襲いかかる。 まりさの皮膚に、何匹ものれみりゃが牙を突き立てる。 このまま餡子を吸い出せば、一瞬で絶命させることが可能だろう。 れみりゃ達は己の勝利を確信した。 「まりさ!」 次々とまりさに群がるれみりゃの群れ。 れみりゃに囲まれ、まりさの姿は見えない。 きっと中では、生命の源たる餡子を吸い出され、無残な姿になっているのだろう。 みょん自身も傷口から餡子を流しながら、せめて一矢報いようと木の枝をとってれみりゃの塊に歩み寄る。 そのとき、みょんはある違和感に気づいた。 長すぎる。 れみりゃの吸餡力は強力で、これほどのれみりゃに囲まれればとっくにまりさの餡子は吸い尽くされているはずだ。 しかし、れみりゃは依然としてまりさにまとわりついたまま。しかも、れみりゃの塊は少しずつ動いている。 みょんは目をこらした。そして見た。 変わらぬ姿で、れみりゃの塊の中心にいるまりさを。 「うー!うー!」 すさまじい筋餡の力で、れみりゃに吸引を許さないどころか、牙を抜くことすら禁じているその姿を。 れみりゃの塊は、いや、まりさはずーりずーりしながら少しずつ移動している。 れみりゃはそれになすすべもなく引きずられているのだ。 向かう先は――川。 「やめるみょん!まりさがしんでしまうみょん!」 みょんは泣きながら、まりさにまとわりつくれみりゃを打ち据え、貫く。 それでもまりさは歩みを止めない。 「うごくんじゃないのぜ。それいじょううごいたらみょんのあんこさんがぜんぶでてしまうのぜ」 「やめるわけにはいかないみょん!」 「しつこいのぜ!けがにんはおとなしくしてろといったはずなのぜ!」 一喝。そして。 「みょんはあのれいむといっしょにまりささまのかつやくをちびどもにつたえるのぜ……」 れみりゃを抱えたまま、まりさは跳躍し、川へと飛び込んでいった。 「…………また……またみょんがいきのこってしまったみょん……」 みょんの悲痛な声は、川の音にかき消されていった。 熾烈な戦いを生き残ったれみりゃ達は、最も大きい巣へと集まっていた。 美味な子ゆっくりや赤ゆっくりが隠れていると踏んでのことである。 「あまあまをだすんだどぉ~♪かくれてもむだだどぉ~♪」 巣の前に敷かれたバリケードを容易に破壊し、巣の奥へと続くれみりゃ達。 そうするうちに、少し広い場所に出た。 群れが会議を行う際に使う場所で、昨日の会議もここで行われた。 そこに、長ぱちゅりーはいた。 「あまあまをかくすとためにならないんだどぉ~♪」 れみりゃの中でもリーダー格と思われる、一回り大きいれみりゃが脅しをかける。 「むきゃきゃ。どうためにならないというのかしら?」 「うー☆たべちゃうぞー♪」 ぱちゅりーの挑発に、少ない語彙ながら明確な殺意をもって応えるれみりゃ。 「ていのうなれみりゃごときが、もりのけんじゃであるぱちぇをたべようというの? あにゃるがおちゃをわかすわ。やれるものならやってごらんなさい。 ほら。みんなひとくちずつ。えんりょはいらないわ。みんなでおわけなさい」 口の減らないぱちゅりーに、業を煮やしたれみりゃがその牙を突き立てた。 その瞬間れみりゃの口内に広がる極上の甘味。 「なんだかんだいって、れみりゃのことがこわかったんだどぅ~☆」 苦痛を味わったゆっくりは甘味を増す。 「こいつもいってたんだどぅ~☆みんなでたべてしまうんだどぅ~☆」 だが、それは決してれみりゃに対する恐怖ではない。 「むーしゃ!むーしゃ!」 ぱちゅりーを極上の甘味たらしめていたもの、それは―――― 「うっ!なんだかくるしいんだど!?」 「これどくはいってりゅぶふっ!?」 「くるしいどぉ~!たすけるんだどぉ~!!」 毒キノコ。 ぱちゅりーは、集めていた毒キノコを、全て食らっていたのだ。 ひとかけらであっても致命的な毒。 身を焼く苦しみの中、クリームを吐くことすらせず、れみりゃと対峙した長ぱちゅりー。 確かにその身は甘くなっていた。猛毒を孕む地獄の甘味に。 「どうしてもいくのか?むれをたてなおすのをてつだってほしいところだが……」 「きめたみょん。みょんはれいむといっしょにちぇんとまりさのことをつたえるみょん」 大きな傷跡をもつみょんは、らんに出立の挨拶をしていた。 春。 れみりゃの襲撃の後、子供を産んだらんは、ぱちゅりーの後をついで群れの長となった。 かつては血気にはやるところもあったが、冬の間じゅう長となるための勉強をし、 今ではぱちゅりーに勝るとも劣らない知恵を身に付けている。 「ちぇんももうあのおうたをおぼえちゃったんだねーわかるよー」 子ちぇん。ちぇんとらんの愛の結晶は、冬を超えて立派な子ゆっくりにまで成長していた。 「まいにちまいにちおなじおうたでうんざりなんだねー」 「まりさはなんどきいてもあきないのぜ。おやじはさいこうにゆっくりしていたのぜ」 だぜ口調の子まりさは、補佐まりさの子。 力は強いし、頭も回る。将来は親同様優秀な補佐役になるだろう。 「おばさんがれいぱーとしてなをのこすのはふくざつなきぶんよね」 求婚ありすには子供こそいなかったが、その遺伝餡は継承されているようだ。 冬篭りの間、れいむは毎日同じおうたを歌っていた。 勇敢だったゆっくり達の戦いの歌を。 残されたゆっくり達の、命の歌を。 子ゆっくり達が、その餡子に刻み込んでしまうほどに。 すっかり雪の融けた山の景色。 悲しいこともあったけれど、命のリレーは確かに繋がっていく。 新たな命が生まれ、新たなおうたが生まれた。 「それでは、れいむはゆっくりしゅっぱつするよ。 みょんなみちづれができたけれど、きっとゆっくりできるよ。 じゃあね、みんなゆっくりしていってね」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 れいむは旅をする。 ゆっくりおうたをうたうために。 れいむは旅をする。 ゆっくりおうたをつくるために。 挿絵:全裸あき
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今日は日曜日。 大学の授業とアルバイトで疲れた体を癒す貴重な休日だ。 一人暮らしの俺は頭まで布団をかぶり惰眠を貪っていた。 その、ささやかな平穏を乱すノックの音。 無視しよう。と思ったが、いつまで経っても訪問者は立ち去らない。 それどころか、ドアを叩く音は激しさを増し、変な声まで聞こえてきた。 「……~! あけてよ~! ダーリ~ン!」 気色悪い単語が聞こえたような気がして、俺は目を開く。 「ダーリンってばー!」 俺は布団を跳ね除け、飛び起きた。 このまま放置するのは危険だ。 ご近所さんにあらぬ誤解を与えてしまう。 せっかくの休日を台無しにされた腹立たしさに頭を掻き毟りつつ、玄関へと向かった。 どしん、ばたん、とドアが揺れている。 なんて乱暴なノックだ。ひょっとしてドアを蹴っているのか? このアパートは安普請なんだぞ。壊れたらどうしてくれる。 「どちらさん? いったい何の用?」 ぱたりと音が止んだ。 俺はここぞとばかりに続ける。 「人の迷惑とかもう少し考えてよ。だいたい……」 寝足りないイライラも手伝って、とげとげしい口調になる。 しかし、俺の言葉は嬉しそうな声に遮られた。 「ダーリンっ!! あいたかったよっ!! ゆっくりしないで ここをあけてね!!」 「な……」 一瞬、呆気に取られる。 くそ。こいつのペースに飲まれては駄目だ。負けてたまるか。 「……ダーリンて誰だよ。意味がわかんねーよ。……ひょっとしてデンパさんか?」 「でんぱさん? よくわからないよっ! へんなこと いわないで はやくあけてねっ!」 「意味がわからんのは俺のほうだっつーとろうが! 警察を呼ぶぞ!」 「ひどいよー! せっかく あいにきたのに あんまりだよー! わーん!」 しょうもない押し問答の末、ついには泣き出す訪問者。 頭がクラクラする。俺が何をしたというのか。 「勘弁してくれよ……、……ん?」 (この声……どこかで……) うっとうしい泣き声。どこかで聞いたことのあるような気がした。 だが、目覚めたばかりで回転数の上がらない頭では、思い出せそうで思い出せない。 ここに至って、俺はドアスコープを覗いてみた。 誰もいない。 「あんた、いったい……?」 「れいむだよっ! かわいい かわいい れいむだよっ!! わーん!」 声はドアの下のほうから聞こえてくる。 「れいむって……ゆっくりれいむか……?」 「そうだよっ! わすれたふりをするなんて ダーリンも いけずだねっ!」 イラッとすると同時にゾワッとしたが、相手がゆっくりだと判り、俺は少しだけ安心した。 ゆっくりが相手ならドアを開けても大丈夫だろう。 「……わかったよ。ダーリン云々はともかく、ここで泣き喚かれたら近所迷惑だからな。 開けてやる。ドアから少し離れてろ」 「うんっ!!」 さっきのは嘘泣きだったんじゃないかと思えるくらい元気な返事だ。 つまらんことをほざいたら簀巻きにして海に叩き込んでやる。 俺はドアを開けた。 その瞬間、 「ダーリンっ!!」 れいむは勢いよく、俺の腹に飛び込んできた。 想像してほしい。 寝起きで無防備な人の鳩尾に、ボウリングボールくらいの重さの物体が直撃したらどうなるか。 れいむの跳躍は素晴らしかった。 「ぐえっ!?」 車に轢かれたカエルのような声を出し、俺はそのまま仰向けに倒れた。 ご、という音と共に後頭部を床に打ちつけ、目から火花が出る。 「なに……すんだっ……!」 もしかして新手のおうち乗っ取りか? 頭を上げると、俺の腹の上で、れいむがとても幸せそうな顔をしていた。 「ダーリン……。またあえて うれしいよ……」 俺を見つめ、にっこりと微笑むれいむ。 その目にはうっすらと涙が滲んでいた。 れいむとは違う理由で、俺も涙目だ。 痛むところを触るとデカイたんこぶになっている。 ともあれ、今ので眠気とは完全におさらばできた。 俺は無言で、れいむと見つめ合ったまま上半身をゆっくりと起こした。 そしてれいむをボカッと殴る。 「いたい! ダーリン ひどいよ!」 「やかましいっ! 不意打ちかましておきながら、どの口が言うか! おあいこじゃ、ボケ!」 本当なら今すぐにでも外に放り出してやりたいところだ。 が、怒りよりも、れいむに対する興味のほうがわずかに大きかった。 やはり見覚えがある。ような気がする。 俺は後頭部の鈍痛に顔をしかめながら、れいむを抱えて居間に戻る。 年中出しっぱなしのこたつ(さすがに布団は外してある)の上にれいむを乗せ、俺はそれに向かい合うかたちで腰を下ろした。 あらためてれいむの姿を見る。 バッヂが無いので飼いゆっくりではない。 しかし野良にしては綺麗だ。 「……で、お前は何で俺のことを『ダーリン』なんて呼ぶんだ? いや、そもそも前に会ったことがあるのか? 他にも訊きたいことは山ほどあるが、とりあえずそこから始めよう」 「ダーリン……。れいむとの であいを ほんとうにわすれたの……? さっき あたま うったせい?」 れいむは小首をかしげるようなポーズをとる。 俺が、平手打ちを食らわそうか、げんこつで殴ろうかと思案していると、 「ゆぅ……。ごめんね ダーリン。れいむ、あんまりうれしくって……」 しょんぼりするれいむ。 謝る顔が本当に申し訳なさそうなので気勢をそがれてしまった。 「……もういい。それより話の続きだ。俺とお前はいつ、どこで出会ったんだ?」 「れいむとダーリンが であったのはね……」 れいむの話を要約するとこうだ。 運命の出会いは今から三日前。 街で暮らすれいむは、ごはんを探している最中、悪い人間さんたちに見つかり、いじめられた。 そこへ颯爽と現れた俺がれいむを助け、名も告げずに立ち去った。 俺に一目惚れしたれいむは、後をつけ、このアパートを突き止めた。 一生懸命体を綺麗にして、会いに行く準備をした。 そして今、感動の再会に至る。 おわり。 ……思い出した。 「お前、あの時のれいむか……」 「やっと おもいだしたんだねっ! ダーリンっ!!」 俺の顔面にダイブしようとするれいむを片手で押さえつつ、俺は頭を掻いた。 たしかに、俺はこいつを助けたのだろう。 しかし、れいむは物語をだいぶん美化している。 あのとき。 大学から帰る途中だった俺は、小学生三人組にいじめられるれいむを見つけた。 なぜ、そんなことをするのかと訊くと、 「だって、いじめたらおいしくなるって聞いたんだもん」 という答えが返ってきた。 お前らこんなのを食うつもりなのか、と驚いていると、頬を抓られたれいむ自身が、 「れいむ、おいしいけど たべないでー! わーん!」 などとのたまう。 俺は呆れつつも、野良のゆっくりがいかにばっちくて不味いかを小学生たちに教えた。 「こんなん食べたら、腹壊して死んじまうぞ」 素直な彼らは、「がっかりー」と言いつつ、れいむを放って行ってしまった。 それだけだ。 俺としては、れいむではなく小学生を助けたつもりだったんだがな。 てか、これだけでいきなり「ダーリン!」、なんて押しかけられても判るか。 それに、今のところ恩を仇でしか返してないぞ。 やれやれ、と俺は大きく息を吐いた。 「……まぁ、だいたいの事情はわかった。俺もお前と再会できて嬉しいよ。よかったよかった。 じゃ、さよなら」 このままこいつといたらロクなことになりそうもない。 俺は紳士的にお帰り願おうとする。 しかし、れいむがじたばたと暴れるのでなかなか掴み上げることができない。 「やだよー! れいむ、ダーリンといっしょにいたい!!」 「ふざけんなっ! なんで俺がお前と暮らさにゃならんのだ!」 「ふうふは いっしんどうたい だよっ!!」 「その夫婦ってのをやめろ!! 怖気が走るっ!!」 再びむなしい言い争いが始まるかに思えたその時、ピンポーン、と呼び鈴の音が響き渡った。 ご近所さんの苦情だろうか? あれだけ騒いでたら、来るわなあ、やっぱり。 「……れいむ、ここで大人しくしてろ。絶対に玄関には来るなよ」 れいむを睨みつけて、俺は玄関に向かう。 謝罪の言葉を考えつつ、ドアを開けると、そこにいたのは意外な人物だった。 「か、母さん……! どうして……?」 「お父さんと喧嘩して、家出してきたのよ。二、三日泊めてもらうわよ」 「じょ、冗談じゃ……」 唐突過ぎるだろ。とはいえ追い返すわけにもいかない。 まずい、非常にまずい。 このまま部屋に入れて、れいむと対面したら大変だ。 なんとかせねば。 必死に考える俺の足に、何かがぶつかった。 「おきゃくさん?」 「!」 「あら、ゆっくりれいむ。可愛い」 力いっぱいれいむを蹴り飛ばしてやりたかったが、もう遅い。 お袋はれいむを抱え上げ、頭を撫で始めた。 「あんたがゆっくりを飼うなんてね~。意外だわ~」 「ま、まあね。一人だとやっぱり寂しいし。 ゆっくりなら、ここのアパートでも飼えるしさ……」 「でも、ペットを飼うなら連絡くらいしなさいよね。 それにしても、この子けっこう重いわね~」 やむを得ない。このままペットということで押し通そう。 あとはこいつが変なこと言わないようにご機嫌を取って……。と、俺はれいむを見る。 お袋の腕の中で、れいむはぷくぅっ、とふくれていた。 いかん、いかんぞ。 「れいむ、ペットじゃないよ!」 「あら、じゃあ何なのかしら?」 「れいむはダーリンの『つま』だよ!」 すべてが、真っ白になっていく気がした。 一週間後。 俺とれいむは商店街を歩いていた。 れいむのリボンには、飼いゆっくりであることを示すバッヂがついている。 あのときのれいむの『女房宣言』は、ごっこ遊びということでなんとか誤魔化すことができた。 ゆっくりと夫婦ごっこやってるという時点で、もういろいろと駄目な気もするが、HENTAI扱いされるよりはマシだろう。 あれだけ散々な目に遭った俺が、どうしてれいむを飼うことになったかというと、それはひとえにお袋のおかげである。 お袋はれいむをいたく気に入り、れいむもすぐにお袋に懐いた。 「おかあさま! ふつつかものですが、よろしくおねがいします!!」 「あら~。本当に娘ができたみたいだわ。うふふ」 洒落にならん。 俺はちっとも笑えなかったが、いいこともあった。 れいむの食費などの分だけ、仕送りを増額してくれるというのだ。 なんと、毎月プラス五千円。 それがあったればこそ、俺はれいむを家に置いてやることにした。本当である。 で、今日は振り込まれたばかりの仕送りで、夕飯の材料を買出しに来ていた。 「ダーリン、まってよ~!」 家で待ってろ、と言ったのに無理やりついて来たれいむが大声を出す。 「外ではその呼び方をやめろって言っただろ!」 振り返りつつ俺は怒鳴る。 周囲の視線に馴れ始めた自分が悲しい。 「なんで? ダーリンはダーリンでしょ?」 「お前、今日の晩飯抜きな」 「どうして!? ダーリンのいじわるっ!!」 「だからそれをやめろっつーとんじゃ!!」 「ダーリンのばか~っ!!」 「黙れ、このオタンチン!」 何十回目になるかわからないやり取りをしながら、俺たちは夕暮れの商店街を行く。 れいむのスピードに合わせていたら明日になってしまうので、俺は仕方なくれいむを抱える。 「ダーリン、まずは やおやさんだよっ!」 「はいはい、わかってるよ」 八百屋の前に来ると威勢のいい掛け声に迎えられた。 「らっしゃいっ! れいむちゃん、きょうも旦那と買い物かい?」 「うん! にんじんさんと、ごぼうさんをください!」 「あいよ、毎度あり! れいむちゃん、甘いもの好きだろう? イチゴもおまけしてやるよ」 「ゆわぁい! おじさん、ありがとう!」 れいむと買い物に行くと、いつもこうだ。 これも役得の一つである。 八百屋のおっちゃんの台詞にはいまだに納得できないが。 その後、いくつかの店を廻って、俺たちは家路についた。 買い物袋はれいむが器用に持っているが、そのれいむを抱えているのは俺だ。 もはやつっこむ気にもならん。 街灯が照らし始めた道に、俺たちの影が映る。 れいむが喋らないので、俺も喋らない。 黙っていれば、少しは可愛いやつなんだがな、と思っていると、 「ねぇ、ダーリン」 不意に、明るい声でれいむが言う。 「なんだよ」 「れいむ、とってもしあわせだよっ!!」 れいむの笑顔は、夜空に浮かぶ星よりも輝いていた。 (了) 挿絵:車田あき
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※独自設定垂れ流し あるところに、とてもとてもゆっくりとした群があった。 それは人里離れた山の中、谷の奥にあった。 「ゆっくりしていってね!」 朝になれば穏やかなゆっくりたちの声が響く。 れいむはのどかに歌い、まりさは狩りにいそしみ、ありすはおうちをとかいはにコーディ ネートし、ぱちゅりーはその知識でみんなを導いた。 自分勝手にひとりじめしようとするゆっくりはいない。人間に無謀な挑戦を試みるゆっく りもいない。 みんなみんな、ひとりだけゆっくりするのだけなく、みんながゆっくりすることを望み、 願い、励んでいた。 そんな群れに転機が訪れる。 ある時、ぱちゅりーが気がついた画期的なごはんの入手方法。 「むきゅ! にがいくさも、むーしゃむーしゃしてからはきだせば、おちびちゃんもおい しくたべられるわ!」 ゆっくりは食べたものを餡子に変えることができる。むーしゃむーしゃして呑み込む手前 でうまく吐き出せば、まずい草も少しだけ甘みを含んだ「おいしいごはん」へと変わるの だ。 群の食糧事情は劇的に改善された。山の草花、ほとんどあらゆるものがおいしく食べられ るようになったのだ。つらい冬ごもりも生存率が飛躍的にあがった。 群はどんどん大きくなり、みんなの笑顔も広がった。 しあわせで、ゆっくりとした時間。それがいつまでも続く。そう、誰もが信じていた。 そんなある日のことだった。 「むきゅ……ぱちゅはとってもゆっくりできたわ……」 群で一番長生きしていたぱちゅりーが、永遠にゆっくりした。野生には珍しい、寿命を迎 えての大往生だった。 それを皮切りに、一匹、また一匹と群のゆっくり達は永遠にゆっくりしてしまった。 そして。 気づけば、あれだけ大きかった群れはなくなっていた。 たた一匹生き残ったのは、ゆっくりれいむ。 れいむは絶望していた。あれだけゆっくりした群れ。その多くの死を看取り、墓を作り続 けて磨耗したれいむはすっかり荒んでしまっていた。 「みんないなくなっちゃったよ……だからもう、れいむはどうなってもいいよ……」 そう言って、れいむは群れについての話を締めくくった。 「……ゆっくりしにしては、ずいぶんと潔く達観したものだね」 加工場工場長はつぶやいた。 ここは加工場の工場長室。透明な箱に収められ、群れ最後のれいむは抵抗する様子もその 気さえも見せず、ただただ絶望していた。 ラストれいむロストホープ 「さて。どうだい、我が加工場は?」 れいむは答えない。反応すらしない。 工場長はため息を吐く。普通のゆっくりならおびえてもいいはずの状況なのだ。 れいむは今、透明の箱に入れられたまま工場長に運ばれている。 一人と一匹がいるのは、加工場の生産セクションだ。 「んほおおおおおおお!」 「やべでええええ! もうあがぢゃんうみだぐないいいいい!」 れいぱーありすの嬌声とれいむの悲鳴。ぬちゃぬちゃという卑猥でおぞましい交尾の音色。 茎に生る赤ゆっくりは誕生の挨拶をする間もなく、ベルトコンベアの上に落ち加工施設へ と運ばれていく。れいぱーとれいむにはそれぞれオレンジジュース注入用のチューブが刺 さっており、力つきることはない。 あたりを占める光景も騒音も、加工場ではありふれたものだ。 そしてそれを見て、恐怖しないゆっくりなどまずいない。 防音加工も施されていない透明な箱の中、周囲の狂騒をれいむは目と耳で存分に味わって いるはずだ。それなのに、虚ろな瞳は何も写していないかのよう。その身をぴくりと動か しもしない。 だが、 「君の群れの滅んだ理由を当ててみせようか?」 工場長のその言葉には反応した。 透明な箱の中、れいむはゆっくりと向きを変え、工場長の目を見る。 なにも写していないかに見える漆黒の瞳に、今は疑問の光が揺れている。 工場長は満足げにうなずくと、あたりをぐるりと見回してから答えた。 「君の群れでは新しいゆっくりが産まれなくなった。だからゆっくりと衰退した。そうだ ね?」 「そ、そうだよ! あかちゃんがうまれなくなっちゃったんだよ……」 れいむはうなだれる。 ゆっくりした群れだった。通常なら大量のゆっくりが死滅する冬ごもりでもその数を減ら さず、食料の不安もまるでない。争いもなければ人間の領域を侵すような無謀なゆっくり もいない。 穏やかな群れだった。 そんな群れの中、積極的にすっきりーしようとするものが減っていった。そして、すっき りーしても赤ちゃんが生らないことが相次いだ。その原因は不明だった。それゆえにどう しようもなかった。 完璧に思える群れを滅ぼしたのは、新しい命が産まれないことだったのだ。 「どうして群れには赤ゆっくりが産まれなくなったかわかるかい?」 「ゆうう……わからないよ……」 「まわりを見てごらん」 辺りではあいかわらず、無数のれいぱーありすが無数のれいむを犯し続けている。 次から次へ絶えることなく赤ゆっくりが産まれ続けている。 れいむの群れにはもたらされなかった命。それが無造作に、機械的に、しかし大量に発生 し続けている。 だが、そんな光景を見てゆっくりの抱く想いは同じ。 「ぜんぜんゆっくりしてないよ……」 れいむは当然の答えを返した。 工場長は笑みで答えた。 「そう。君の群れと違ってこいつらはぜんぜんゆっくりしていないね!」 「そうだよ……ゆっくりしていないのに、どうしてあかちゃんがうまれるの……?」 「れいむ。そこが勘違いの元だ。ゆっくりしてないからこそ、たくさん赤ゆっくりが産ま れるるんだよ!」 「ゆううっ!?」 れいむは混乱した。 ゆっくりというナマモノにとって、ゆっくりすることこそ至上にして最優先の命題。それ を果たせない方が「ゆっくりできることの象徴」とも言える赤ゆっくりをたくさん授かる などあり得ない。 それが、ゆっくりにとっての常識。 だが、加工場での常識は違った。 「君たちゆっくりはよく言うね。『赤ちゃんはゆっくりできる』、と」 「そ、そうだよ! あかちゃんはとってもゆっくりできるんだよ!」 「こいつらはゆっくりしていないね?」 「ぜんぜんゆっくりしていないよ!」 「その通り。したがって、こいつらはゆっくりしたがっている。ゆっくりできる赤ゆっく りを強烈に望んでいる。だからこんなに産まれるんだ」 「ゆううううっ!?」 ゆっくりできないからたくさん赤ゆっくりが生まれる。 それはゆっくりには全くなかった発想だった。 「で、でもみんな! あかちゃんほしくないっていってるよ!」 れいむの指摘通り、れいぱーにおそわれているれいむはいずれもあかちゃんを産みたくな いと言っている。 「やべでえええ! もううみだぐないいいい!」 「すっきりはもういやああああああ!」 「あがぢゃん……ゆっぐ……あがぢゃんとおわかれするの、もうやだよおおおお!」 大嫌いなれいぱーに無理矢理生まされるのだから当然だ。しかも生まれた赤ゆっくりは産 まれたそばからベルトコンベアで運ばれ、ろくに顔を見ることすらできない。赤ゆっくり 達が生き残ることなどないことは、さすがの餡子脳でも想像しているしている。 「君は恵まれた群れにいたからわからないかもしれないけどね。ゆっくりっていうのは、 本来わがままなんだよ。苦しい。つらい。ゆっくりしたい。口では赤ちゃんは生みたくな いと思っていても、産まれた子がどんな運命をたどるか知っていても……自分がゆっくり したいと願いの方を優先する。だから産む。赤ちゃんはゆっくりできるものだからね」 れいむは見た。 どの母れいむも、にんっしんした瞬間だけほんの少しゆっくりした顔をするのだ。 そして直後、赤ゆっくりが生まれ落ちた瞬間に絶望する。 そんな愚かな繰り返しがまわりでずっと起きている。 「そんな……みんなゆっくりしていたから、あかちゃんうまれなかったの……そんなのっ て、ないよ……」 れいむはうなだれた。滅んだ群れへの絶望をさらに深くしたようだ。 「君の群れが滅んだ理由はそれだけじゃないよ」 れいむの顔にさらに深く影が差す。そんなれいむを、工場長はにっこり笑って眺めていた。 * * * 「ゆわあ……」 次に運ばれた施設で、れいむは感嘆の声を上げた。 先ほどの生産セクションとは打って変わって静かな部屋だった。 幅は人間二人が余裕をもってすれ違えるほどの細長い作りだ。長い壁の片面はガラス張り になっており、ガラスの向こうは格子状に仕切られている。そして格子のマス目ひとつひ とつに、穏やかな笑みを浮かべて眠る赤ゆっくりがいるのだ。 「どうだい、れいむ。この赤ゆっくりたちは?」 「とってもゆっくりしてるよ! でも……ちょっといたそうだよ」 赤ゆっくりの頭にはビニール性のチューブが突き刺さっているのだ。れいむが見咎めたの はそれだった。 「ああ、それは痛くないんだ。そこから栄養と高濃度の『ゆんどるふぃん』がそそぎ込ま れている」 「ゆんどるふぃん?」 「ゆっくりがしあわせを感じたときに検出される餡子脳内物質。それを科学的に合成して 作り出したものだ」 「ゆ? ゆゆ?」 「れいむにもわかるように言えば……とてもゆっくりできるものがあの管から出てるんだ。 つまりあれは親ゆっくりの茎のようなものだよ」 れいむは納得がいかないようだったが、赤ゆっくりの穏やかな笑顔を見ているうちに気に ならなくなってきたようだ。 「ゆゆ~ん……この子たち、いつうまれるの?」 「いや、産まれない」 「ゆゆ?」 「『ゆんどるふぃん』を一定期間赤ゆっくりに注ぐと、赤ゆっくりは『さあ、おたべなさ い』をしたゆっくりにきわめて近い味になる。その状態になった時点で真空パックして出 荷だ。加工場の新製品『ゆんどるふぃん赤ゆ』として、ね」 「む、むずかしくてわからないよ!」 「あの赤ゆっくりは、あとでむーしゃむーしゃされるんだ」 工場長は口を大きく開いて閉じて、食べるまねをした。 れいむは震えた。 「どぼじでぞんなごどずるのおおおお!?」 「ここが加工場だからだよ」 簡潔かつ明快すぎる答えにれいむは絶句した。 「さて、さきほどの話の続きだ。ゆっくりはゆっくりを求める。親ゆっくりはゆっくりを 求める。だから赤ゆっくりを産む。だが、赤ゆっくりの方はどうだろう? どこに産まれ たがると思う?」 「ゆ、ゆっくりできるところだよ!」 「そうだね。だから加工場でたくさん産まれる」 「か、かこうじょうはゆっくりできないよ!」 「その通りだ。でもね、見てごらん? この部屋の赤ゆっくり達は実にゆっくりしている だろう?」 れいむは言葉に詰まってしまう。 赤ゆっくりの穏やかな笑顔は、ゆっくりしていることのなによりの証明。 理屈ではなく本能が工場長の言葉を肯定していた。 「人間には、『子供は親を選べない』なんて言葉がある。だが、思いこみのナマモノであ るゆっくりは違う。赤ゆっくりは産まれる場所を選ぶことができる。よりゆっくりできる 場所に産まれ落ちようとするんだ」 れいむはうなだれている。工場長の笑みは深くなった。 「『ゆんどるふぃん赤ゆ』を生産しはじめてから、加工場全体の生産効率は飛躍的に上が ったよ」 そして、工場長はれいむをつれて次の部屋へ向かった。 * * * 次に訪れたのは殺風景な部屋だった。 コンクリートで打ちっぱなしの無機質な壁と天井。 床もまたコンクリートだったが、こちらはにぎやかだ。キリ、ハンマー、包丁にナイフに アルコールランプ。様々な虐待道具が並べられている。 工場長はれいむを透明な箱から取り出すと、部屋の床へと落とした。 「ゆっ……!」 落とされた衝撃にうめきはしたものの、動こうとはしなかった。加工場で見てきたもの、 知ったことのショックが大きく、自失しているのだ だが、 「さて、れいむ。それじゃあ最後に君の群れが滅んだ本当の理由を教えてあげよう」 工場長の言葉にれいむの瞳は輝きを取り戻した。 「ゆ、ゆゆ!? どうしてなの!? しってるの!?」 「知っているさ。もっとも、仮説に過ぎないけどね」 工場長は指を立て、得意げに語り出す。 「今まで見せてきたように、ゆっくりは親の『ゆっくりしたいという願い』と、赤ゆっく りの『ゆっくりしたいという願い』、二つによって生まれる」 「れいむのむれだって、とってもゆっくりしていたし、みんなあかちゃんをほしがってた よ!」 「そうだね。でも、親ゆっくりと赤ゆっくり、どちらの願いも加工場のゆっくりほど強く ない」 「ゆ、ゆゆ! そ、それは……!」 れいむは反論できない。 群れはとてもゆっくりしていた。十分過ぎるほどゆっくりしていたのだから、加工場のゆ っくりほどゆっくりを求めていない。 だから、加工場の親ゆっくりの願いが勝つ。 群れはゆっくりとしていた。だが、加工場のあの部屋で赤ゆっくりが見せた笑顔。あれほ どゆっくりした笑顔は、群れでもなかなか見ることができなかった。 だから、赤ゆっくりは加工場に産まれることの方を望んでしまう。 「仮説に過ぎないが、一日あたりにゆっくりが産まれる総量は制限があるらしい。だから、 加工場でたくさん産まれる分、君の群れでは産まれなくなるわけだ」 「そんな……そんな……!」 「つまり、一言で言えば、だ。君の群れは、加工場に負けたんだよ」 「ゆわあああああああああ!!」 はれいむにとって到底受け入れらないことだった。 加工場。餡子脳の奥に刻まれた場所。ゆっくりにとってもっともゆっくりできない地獄。 そんなところにゆっくりできる赤ちゃんを、産まれる前から奪われてしまい、そのせいで 群れを失ったなんて。 「どぼじでぞんなごどずるのおおおお!? れいむたち、なんにもわるいことしてないの にいいいいい!?」 あまりにも理不尽だった。不条理だった。不公平だった。 れいむの餡子の奥からの、魂の慟哭だった。 「悪いことをしていない? とんでもない。おまえ達みたいなゆっくりが一番迷惑なんだ よ」 れいむの魂の叫びを、工場長は一笑に付した。 「おまえ等みたいに善良な面して増えるゆっくりが一番やっかいだ。ゲスはまだましだ。 人間に挑んでくるから場所の把握ができる。駆除もしやすい。勝手に自滅することだって ある。だが善良な群れは別だ。人間に見つからず、ひっそりと暮らし、そのくせやたらと 増える。普通のゆっくりが食えないものまでどうにかして食べやがる。人間がその存在に 気がついた時には、大抵山の自然は取り返しもつかないくらい壊されている。数が多すぎ て駆除も困難だ」 「ゆ、ゆぐぐ……れいむたちは、わるくない……わるくないのにぃ……!」 「難しい言葉が多くてよくわかってないみたいだな。わかるように言ってやる。おまえら は存在しているだけで迷惑だ。善良かゲスかの区別なく邪魔だ。おまえらはこの加工場で 食べ物として存在する以外、居場所なんてないんだよ!」 れいむは人間の言うことがほとんど理解できなかった。 だが、その意図だけは伝わった。 「いらない」 そう言われたのだ。 それが悔しくて、悲しくて、でも言い返す言葉が思いつかない。 れいむは泣きながら工場長をにらむだけだった。 「その中でもおまえは特に許しがたい」 「れ、れいむはなにも……」 「ゆっくりってやつは絶滅しない。どれだけ駆除しても、半年もあれば前以上の数に戻り やがる。その理由は最近になってようやくわかった」 突然、工場長はれいむを蹴りとばした。 「ゆぐううっ!?」 ものすごい勢いでれいむは飛び、コンクリートの壁に叩きつけられた。 普通のゆっくりなら間違いなく皮が破れ餡子が漏れだし、「永遠にゆっくり」してしまう こと間違いない、容赦のない蹴りだった。 だが、れいむは、 「ゆぐうう……いだい……いだいよぉ……」 蹴られた場所とコンクリートの壁に激突した部分が内出餡で黒ずみはしたものの、その命 に別状は無かった。 「群れで最後に生き残ったゆっくりは、とても死ににくくなる。普通のゆっくりなら死ぬ ようなダメージでも平気で回復しやがる」 「へいきじゃ……ないよお……ぐげえっ!?」 答える間もなくハンマーでたたきつぶされた。 今度こそ体が破れ、餡子が漏れ出す。目玉も飛び出した だが、それなのに、 「いだい……いだい……いだいよお……」 れいむはゆっくりと回復していった。 漏れ出た餡子はひとりでに体内に戻り、小麦粉もオレンジジュースなしで皮もふさがって いく。飛び出した目玉すらも戻っていく。れみりゃも及ばないほどの超回復だった。 「死なない。死なないなあ、お前は」 「やべぢぇ……やべぢぇええ……」 れいむはずりずりと治りきらない体を引きずり、工場長から離れようとする。 しかし閉ざされた部屋の中、逃げ場などない。 無様だった。 滅んだ群れに絶望して達観したゆっくりは、もはやどこにもいない。 工場長はそんな哀れなれいむを追いもせず眺めていた。 「さてれいむ、今お前はゆっくりしたいと思ってるな?」 「ゆっぐじ……ゆっぐじじだいよお……ゆっぐじざぜでよおおお……!」 「さっき言ったことは覚えているか? 赤ゆっくりは、親のゆっくりしたいという願いと 子のゆっくりしたいという願いで産まれる。お前はゆっくりしたいと願い、ここはゆっく りできる加工場だ。そして、お前は群れ最後のれいむだ。そうすると、おもしろいことが 起こる」 れいむは工場長の言葉など餡子脳に入ってこないでいた。 ただ、ひどくゆっくりできない予感にさいなまれていた。 そして、それは現実化した。 「ゆ、ゆゆううう!?」 突然、れいむの頭からにょきにょきと茎が生え、ぽんぽんが膨らんだ。 「どぼじであがぢゃんでぎぢゃうのおおおお!?」 れいむは植物型にんっしんと胎生型にんっしんを同時にしたのだ。 「最後に残ったゆっくりは限りなく不死になり、ゆっくりしたいと強烈に願うだけで赤ゆ っくりを大量に生み出す。それがゆっくりが絶滅しない理由だ」 「あ、あかちゃん……ゆっくり、ゆっくりしていってね!」 産まれたばかりの新しい命に、れいむは自らの状況も忘れ心奪われる。 赤ゆっくりとは、ゆっくりにとって理屈抜きでゆっくりできるものなのだ。 だから、次に目に入った出来事は受け入れられなかった。 想像もできなかった。 赤ゆっくりの生った茎が、突然燃え出すなんて。 「ゆううう!? ひさん、ゆっくりしないできえてね! あかちゃんが! あかちゃんが ああああ!!」 火を消そうとれいむはごろごろと転げ回る。 工場長はたった今れいむの茎を燃え上がらせたライターを捨てると、再びハンマーを持ち 上げた。 そして、じっくりとねらいを定め、れいむの膨らんだぽんぽんへと叩きつけた。 「ゆっぶぶぶぶうう!」 れいむのあにゃるから液状のあんこが吹き出した。うんうんだけではない。髪の毛とお飾 りが混じっている。砕かれた胎生型にんっしんの赤ゆっくりだ。 「れいむ。群れの最後の一匹の、特別なれいむ。残念ながら、加工場にとってお前は邪魔 者だ」 「ゆああ……あがぢゃん……あがぢゃん……」 「放っておけば野良や野生のゆっくりが増えてゆっくりの食品イメージが悪くなる。常識 を越えてゆっくりを生み出すが、生まれるのは生命力が強いだけで食品としての価値が低 いクズばかり。加工場では使いものにならない」 「はじめでの……ゆっぐじじああがぢゃんだっだのにぃ……!」 「だからお前の利用価値は、虐待されることだけ。お前のその特別な状態は、過去の例で は約一ヶ月間続く。その間、楽しませてもらう。この愉悦は加工場の工場長だけの特権だ。 お前みたいのは稀少ではないが、見つけられるのは稀だからな」 「ゆぐあああ……」 泣きぬれるれいむを前に、工場長はあらたな虐待道具を手にする。 「絶望したな? ゆっくりすることを強烈に願ったな? また、生まれるぞ」 「ゆぶうっ!?」 再び、れいむのぽんぽんが膨らみ、頭から茎が生えて鈴なりに赤ゆっくりが生った。 間髪いれず、工場長はれいむのまむまむにロケット花火数本を突っ込むと火をつけた。 れいむが反応する間もなく、ロケット花火は炸裂した。 「ゆっ……ぶええええ!?」 今度は口からお飾り混じりの餡子が吐き出された。 普通のゆっくりなら間違いなく致命傷。だが、死なない。このれいむは決して死ぬことが ない。そして子を宿す能力も失わない。その特殊性こそが、ゆっくりが滅びない理由。種 としてのしぶとさの証。 「どんどん絶望し、ゆっくりを望んで子を宿せ。そのためにわざわざ加工場を案内してや ったんだからな」 工場長の笑みが深くなった。普段は厳密な製品管理のために思った通りの虐待など許され ない。そもそも、こんなに死ににくいゆっくりなど他にいない。普通では不可能な虐待が 一ヶ月の間好きなだけ楽しめるのだ。 「ゆっくりしていってね!」 工場長はれいむの頭から茎をむしり取ると、赤ゆっくりごとれいむに叩きつけた。 「あがぢゃん! あがぢゃあああん!」 れいむの悲痛な叫びに酔いしれる。滅多に手に入らない、群れ最後のれいむ。 これから一ヶ月間の夢のように楽しい日々を想像し、工場長はゆっくりと微笑んだ。 了 by触発あき ・過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 163 バトルゆ虐! ふたば系ゆっくりいじめ 172 とてもゆっくりした蛇口 ふたば系ゆっくりいじめ 180 ゆっくりばけてでるよ! ふたば系ゆっくりいじめ 181 ゆっくりばけてでるよ!後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 199 ゆっくりたねをまいてね! ふたば系ゆっくりいじめ 201 ゆっくりはじけてね! ふたば系ゆっくりいじめ 204 餡小話の感想れいむ・その後 ふたば系ゆっくりいじめ 211 むかしなつかしゆーどろ遊び ふたば系ゆっくりいじめ 213 制裁は誰がために ふたば系ゆっくりいじめ 233 どすらりー ふたば系ゆっくりいじめ 465 おぼうしをおいかけて ふたば系ゆっくりいじめ 469 おぼうしをぶん投げて ふたば系ゆっくりいじめ 478 おぼうしのなかにあったもの ふたば系ゆっくりいじめ 513 ネリアン 上記以前の過去作品一覧は下記作品に収録 ふたば系ゆっくりいじめ 151 ゆっくりみわけてね!
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No.001 / ちびみこ 人形 ちびれいむ 基本データ 説明 はくれいじんじゃの みこおちゃを のみながらしずかに すごすのが すき。 タイプ ノーマル 特性 マイペース タマゴグループ ひとがたりくじょう 種族値 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 合計 50 50 50 50 50 50 300 獲得努力値 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 0 1 0 0 0 0 分布 場所 階層 Lv 備考 5のしま あきち 5 その他の入手方法 最初にオーキドからもらう 進化系統 ちびれいむ ┗Lv18でれいむ ┗Lv36でEれいむ 育成例 レベルアップ技 Lv 技名 001 はたく 001 なきごえ 007 ふうましん 011 とびげり 015 ちょっかん 019 かまいたち 023 みこにさいせん 027 ひかりのかべ 027 リフレクター 031 PWJニードル 035 そらとぶみこ 039 ていそくいどう 043 じんつうりき 047 むそうてんせい 技・秘伝マシン技 No 技マシン名 01 きあいパンチ 06 どくどく 09 めいそう 10 よめしゅぎょう 15 LUNATIC 16 ひかりのかべ 17 まもる 18 あまごい 20 しんぴのまもり 21 かまいたち 23 はがねのこぶし 27 おんがえし 28 あなをほる 29 サイコキネシス 30 シャドーボール 31 かわらわり 32 かげぶんしん 33 リフレクター 39 がんせきふうじ 40 つばめがえし 41 ソニックブーム 42 からげんき 44 ねむる 46 どろぼう 48 げきりん 49 よこどり No 秘伝マシン名 04 かいりき 06 いわくだき タマゴ技 技名 ふういん あくび たまなげ おいうち サイコブースト マジックコート はめつのねがい すてみタックル 人から教えてもらえる技 場所 技名 未実装
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『れいむ宇宙へ』 7KB 制裁 小ネタ 失礼します ※ 余所でやったネタをゆっくりでもやってみたくなったので。 ※ 「anko4458 どうあがいても絶望」の登場人物が出てきます。 チートあきです 「むーしゃむーしゃ、うっめ! めっちゃうっめ!」 とある大きな公園の片隅。ベンチの上に置かれた鯛焼きの袋。一匹のれいむがそれを 破って、中身の鯛焼きを食べていた。バッジなどは無い野良ゆっくりである。 「おい、れいむ」 「ゆ?」 最後の一個を呑み込み、れいむは顔を上げた。 そこにいたのは、がっしりとした体躯の五十歳ほどの男だった。中分けにした黒い髪の 毛に、右目に付けた片眼鏡。細いカイゼル髭と顎髭を生やしている。服装は高級そうな 紺色のスーツである。右手にペットボトルのお茶を持っていた。 瞳に怒りを灯し、男はれいむを見下ろしている。 「それはワシのおやつだ。それに貴様は何をしている?」 「ゆゆっ、なにいってるの、おじさん! これはれいむのものだよ。ゆっくりしているれいむ をたたえるためにかってにはえてきたんだよ。ゆっくりりかいしてね?」 もみあげをぴこぴこ動かし、れいむが答える。 「ほう……」 男の額に怒りのマークが浮かぶ。 「もう一度言おう。それはワシが食べようとしていた鯛焼きだ。毎日の激務の間、ちょっと 息抜きとして甘いものを食べてゆっくりしようと思って買ってきたものだ。それを勝手に盗 んで食ってしまったことについて、貴様は何か言うべき事はあるか?」 右手を持ち上げわきわきと指を動かす。 仕事の合間に鯛焼きの屋台を見つけ、鯛焼きを買った。それをベンチに置き、お茶を買 いに行って戻ってきたら、どこかの野良ゆっくりに盗み食いされていた。同僚に知られた ら大笑いされるような凡ミスである。だが、その反省は後回しだ。 「ゆ?」 れいむは男を見上げて身体を傾け。 もみあげでぽんと手を打つような仕草を見せた、 「これおじさんのなんだね。ゆっくりりかいしたよ! とってもかわいいれいむにけんっじょ うっしてくれたんだね。なら、おじさんにはごほうびをあげるよ! かわいいかわいーれい むのうんうんうけとってね!」 「なるほど。ただの餡子脳か」 男は目を閉じ、静かに納得した。 れいむは鯛焼きの袋にあにゃるを向け、 「れいむのすーぱーうんうんたいむ――」 「おりゃぁ!」 ドギャァアァン! 超音速で振り抜かれた男の手がれいむに叩き込まれる。 「ゆぎゃあああああっ!」 身体を駆け抜ける衝撃波に、れいむは悲鳴を上げた。もはやうんうんどころではない。 落雷のような凄まじい衝撃に、意識が跳ねる。 ベンチが軋み、周囲の地面に小さな亀裂が走り、薄い土煙が吹き出す。 そして。 「ゆ? ゆ? なんともないよ」 れいむは無傷だった。 普通のゆっくりなら消滅するほどの衝撃を打ち込まれたのに、どこにも傷はない。目や 身体を動かし、自分の無事を確認してからきりっと眉を傾ける。 「ゆふん、やっぱりれいむはさいきょうだね!」 勝ち誇った顔のれいむを、男は掴み上げた。 「おそらをとんで――」 「その台詞を吐くのはまだ早い!」 左足を真上に振り上げてから、れいむを掴んだ右手を思い切り振りかぶる。全身の筋 肉と関節と体重を使った投球フォーム。掴んでいるのは野球ボールではなく、れいむの 頭だが。そのまま勢いよく左足を振下ろし、右腕を振り抜いた。 「宇宙の果てまで飛んでいけェェッ!」 「ゆぅぅぅぅ……!」 ドンッ! 空気の壁をぶち抜き、れいむが飛ぶ。 空に浮かぶ綿雲に穴を開け、さらに上空に広がった羽雲を貫く。衝撃波が羽雲に丸い 波紋のような振動を走らせる。ロケット打ち上げなどで見られる、珍しい現象だった。 ともあれ、れいむはお空を飛んだ。 「れいむは、おぞらをどんでるよおおおおお!」 雲を切り裂き、青い空へ。 れいむは一直線に空を突き抜ける。ゆっくりと回転しながら、ただひたすら高く。普通の ゆっくりなら一瞬で燃え尽きる速度だが、男が叩き込んだ衝撃波がれいむの強度を桁違 いなまでに強化していた。 「ゆわああ……!」 遙か遠くに見える灰色の街。森や林の緑。土の茶色。 空の青さが徐々に薄まり、黒い色へと変化していく。 ゆっくりでは絶対に行けない高さへと、れいむは来ていた。 「れいむはっ、おぞらをしはいしたよおおおっ! ごっ、ごのぜがいはああっ! ぜんぶれ いのものだよおおおお! ゆうううううんっ! いまっ、しんらばんしょうすべてがっ、れい むをしゅくふくしているよおおお!」 涙と涎と汗と、しーしーとうんうんと。 あらゆるものを溢れさせながら、れいむは感動していた。 雲と雪と氷の白と、海の青が映る地球。無限の漆黒を背景に輝く無数の星々と、天をふ たつに分ける天の川、遠くには灰色の月、そして白く大きく輝く太陽。 その光景は純粋に美しかった。 音のない宇宙。 全天をふたつに分けて伸びる天の川。輝く太陽から左右に伸びる白い光の線。太陽光 が惑星間塵に反射したものである。空気や埃など遮るものの一切無い宇宙空間では、 全てが輝いていた。 「とってもひまだよ……」 口をとがらせ、れいむが愚痴る。 想像も付かないような光景でも、眺めていればいずれ飽きる。感動が落ち着いた後に 残っていたのは、呆れるほどの空っぽの時間だった。ようするに退屈である。宇宙空間 は案外何もない。 男に叩き込まれた衝撃波の力で、大量の宇宙線と真空に晒されながらも、れいむは 普通に生きていた。 「ゆ?」 ふと、れいむは太陽に目を向ける。 白い大きな丸。 「たいようさん、おおきくなってる?」 太陽が数倍の大きさになっていた。普段から知っている太陽。その大きさが変わる事 はないとれいむは考えていた。だが、その考えを否定するように、視界に映る太陽は記 憶の数倍の大きさになっている。 地上では気にすることはないが、太陽系にあるものは例外なく太陽に落ちている。惑星 から隕石、彗星、塵や気体分子まで。 無論、れいむもそのひとつである。 「ゆんやあああああ!」 もみあげを振り回しながら、れいむは悲鳴を上げていた。 太陽は既に視界の半分を埋め尽くすほどになっている。 文字通り天文学的な質量を持つ太陽。その大半を占める水素の核融合反応によって、 凄まじいまでの熱量を生み出している。表面温度は約六千度、中心部は千五百万度にも 達すると言われていた。 どちらにしろゆっくりが落ちたら一瞬で消える。 「あづいのはゆっぐりできないいいいい! あっぢいげえええええ! れいぶにいぢわる ずるくぞだいようは、ぎえろおおおおお! じねじねぇぇ、ゆっぐりじねえええ!」 ひたすら太陽に向かって罵声を上げていた。 「ゆ、ゆ……たすかったよ」 太陽は地上から見上げる程度に小さくなっている。 ふっと息をつくれいむ。真空の宇宙空間で息が付けるのかは不明だが、少なくともれい むは息をついた気分でいた。 漆黒の宇宙。無数に輝く星々。 遠くで白く輝く太陽。 「ゆーん、どうやっておうちかえろう?」 今更ながらそんな事を考えるれいむ。 太陽の重力圏に放り出された物体の結末は、主にみっつである。ひとつめは太陽の重 力に引かれて太陽に落ちる結末。ふたつめは太陽の周囲を公転する結末、他の惑星の 重力に捕まる結末も一応ここに含む。みっつめは太陽重力を振り切って、太陽系の外へ と飛んでいく結末。 それらは主に物体の速度に左右される。 そして、れいむはかなり速かった。 「ゆっ、ゆっ……」 泳ぐようにもみあげを動かし、もこもことあんよを動かす。 何もない虚空を、れいむは必死に進もうとしていた。 あれから一体どれくらいの月日が経ったのかわからない。数日か、数ヶ月か、数年か、 はたまた数百年か。時間の感覚はとうの昔に壊れていた。 「かえる……、おうちかえる……」 全身を動かし、れいむは必死に進む。進んでいるつもりだった。 遙か遠くに見える光の点。かつては巨大な火の玉だった太陽も、今では背景の星とほ ぼ変わらぬ大きさになっていた。目指している光が本当に太陽なのかも分からない。そ もそも太陽の方向に向かって、それからどうすればいいのかも分からない。 「ゆっ……」 涙はとっくに枯れ果てた。 何もない宇宙空間。どういう仕組みかそこで普通に生きているれいむ。空腹も感じず、 窒息することもなく、身体が動かなくなることもない。そしておそらく絶対に死なない。死 ねないという確信が、れいむにはあった。 「れいむは、おうちかえるんだよ……!」 微かに残る公園の記憶。 最後に食べたあまあまの記憶。 それにすがるように、れいむはひたすら身体を動かしていた。 過去SS anko4485 ぱるすぃのじぇらすぃ anko4467 事情聴取 anko4458 どうあがいても絶望 anko4439 ぼうぎょ 255 anko4420 心無い天使 anko4406 罪と罰 以下省略 挿絵:
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『れいむ』 18KB 愛で 制裁 愛情 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 子ゆ ゲス 現代 試しに愛でてみた ・登場人物は一人と三匹だけです。 ・一応愛でのつもり ・でもせいっさい! ・10KBくらいにしたかった…… れいむはついさっき生まれたばかりだった。 しかし、その表情は曇っていた。 「おちょしゃん……おきゃしゃん……」 いるはずの両親を探す。しかし、四方八方上下左右の全てを見回しても家族はいなかった。 あるのは何か黒い柱と、その上に自分がさっきまでいた茎、そして黒ずんだ姉妹がいた。 「ひっぐ、ひっぐ……ゆぴゃぁぁああああああああ!!! ゆっぐちしたいよぉぉおおおおおおおおおおお!!!!」 ついにれいむは泣き出してしまった。無理も無い事であろう。 すると、何か物音がした。 れいむが振り返るとそこにはれいむより高いところに大きな頭があった。 「ゆ、ゆぴゃぁ!! きょわい……ゆ?」 高所から見下ろされる恐怖に泣き出すところだったが、暖かくて優しい何かが自らを触れた事で落ち着いた。 それは大きな頭がのっかっている台だった。 いや、台ではない。生物の身体である。 僅かだけ継承された記憶があるれいむは、それが生物の一部である事をなんとなく理解した。 「だ、だれにゃの? れいみゅのおきゃあしゃんは? おとおしゃんは?」 恐る恐る聞く。 大きな生物は困ったという顔をした。 「ごめんよ、僕にもわからないんだ。 ただ、気付いたら僕の家の前に君の成っている茎が落ちていてね」 嘘は言っていないようだった。 そして、この生物はれいむの命の恩人であるという事がわかった。 「れいみゅの、いもうちょたちは?」 「それもごめんよ、急いで準備はしたんだけど、君以外はもう手遅れだったんだ」 れいむが助かったのは、茎の根に一番近かったからだった。 他の姉妹は、栄養供給が間に合わなかった。れいむの一個前の姉妹も、もう少しと言うところで力尽きてしまったらしい。 現在、れいむは親から受け継ぐはずの記憶が極端に薄い。 知っているだろう知識もあまりなく、自分がれいむという種である事以外は動物的本能しか備わっていない。 それはおそらく、茎が出来てから間も経たぬうちに折られたせいだろう。 大きな生物……人間の男が用意した市販の餡子で代用したせいで、親から受けるべき記憶を含む餡子が継承されず、ほぼ白紙に近い状態となったらしい。 記憶の継承がないせいで、親がどんなゆっくりかもわからない。 れいむがれいむである以上、片方はれいむであろう。 姉妹は種がわかる前に死んでしまったようで、そこから推測する事は出来ない。 「れいむ、さしでがましいけれど、もしよければ僕の子として生活しないか? まぁ、飼いゆっくりと飼い主という間柄にはなるけど」 「かいゆっくち?」 「そう。まぁ簡単に言えば家族になろう、ということなんだけど」 男は伺いを立てる。 れいむの答えは決まっている。いや、それ以外にない。 「なりゅ! れいみゅ、『かいぬし』しゃんの『かいゆっくち』になりゅ!」 それを聞いた男は笑顔になる。 「ああ、よろしくれいむ。ゆっくりしていってね」 「ゆぅ? ゆっくちちていっちぇね?」 「そう、君たちゆっくりの挨拶だよ。さ、言ってみて。ゆっくりしていってね」 「ゆっくちちていっちぇね!」 「そうだ、上手だぞーれいむ」 「ゆっくち! ゆっくち!」 はじめて聞く言葉だったが、れいむはその言葉を言い合うだけでとても気分よく……そう、ゆっくりできた。 れいむが生まれて少し経った。 飼い主は少し厳しいながらもれいむにもわかる愛情を与えてくれている。 れいむはそれに応えたくてよく無茶をするようになった。 「ゆぴゃあああ!!」 「ああもう、だから動き回っちゃだめだと言ったのに」 今回は飼い主について回って仕事を貰おうとしたら、床においてあった油や醤油のボトルにぶつかった。 「だっちぇ、かいぬししゃんのおてちゅだいが……」 「それはれいむがもっと大きくなってからな。怪我しないか心配する身にもなってくれ」 「ゆぅう、わかっちゃよ」 れいむは活動的で落ち着きが少しばかり足りていなかったが、聞き分けはとてもよかった。 ほぼ白紙だったせいだろうか、難しい事でなければ教えればすぐに覚えたし、覚えれば忘れはしなかった。 ゆっくりは何か特別な事が無い限り飾りをはずすのを極端に嫌がるが、それもこのれいむは抵抗が無く、よく洗いに出している。 そんあれいむも赤子言葉が抜け、子供サイズとなったある日、飼い主の家の窓に大きめのゆっくりが二匹やってきて喚いていた。 「かいぬしさん、なんだかれいむににてるいきものさんがいるよ」 「あーなにかうるさいと思ったら野良ゆっくりか」 「のらゆっくり?」 れいむは今の今まで自分の同族を見た事がなかった。 飼い主が言うには、野良というのは基本的に人間に良いものではないらしい。 基本的に、というからには一部は違うのだろうと思ったが、外の野良ゆっくりは多分悪い方だろうなと思う。 「野良は人の家に上がって『おうち宣言』と言ってその家をのっとろうとするのさ」 「それはゆるせないね」 「だからまぁ、いろいろ対策もあるらしいんだが」 飼い主はとりあえず入り込まれないように板を用意してから窓を開けた。 すると大声を張り上げた。 「ここはれいむとまりさの――」 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!」 何かを言い終わる前に飼い主はゆっくりの代名詞である台詞を言う。 これを言われるとほとんどのゆっくりは反射的に応えてしまうのだという。 「ここは僕とこのれいむのゆっくりプレイスだよ、れいむとまりさはゆっくりしないで出て行ってね」 おうち宣言される前におうち宣言をしてしまう。対策法の一種である。 「そのおちびちゃんはれいむのおちびちゃんだよ! だからここはれいむのゆっくりぷれいすなんだよ!!」 予想もしない反論だった。 飼い主も同じ面持ちだ。 「どういうことだい?」 飼い主は問いただす。 「そのこはれいむとまりさがすっきりー!してできたこなんだぜ! だからこのいえはまりさのゆくりぷれいすなんだぜ!!」 飼い主は呆れた。言ってる事が何一つ変わっていないのだ。 すると、れいむが一応距離を置いた位置から質問する。 「にひきがれいむのりょうしんなの?」 普通ゆっくりは同族を「人」で数えるらしいが、このれいむは飼い主から自身の数え方は「匹」と教わっている。 その程度の違いは、目の前の二匹にはあまり関係ない話だが。 「そうなんだぜ。まりさとれいむじゃおちびちゃんをそだてられそうにないから、にんげんにそだてさせることにしたんだぜ」 ゆふん、と胸を張るように仰け反る親まりさ。 「にんげんにしてはよくやってくれたよ。おちびちゃん、こんなにんげんはさっさとせいっさいしてやって、おかあさんとゆっくりしようね!」 れいむを救った人間をコケにする親れいむ。 前にテレビで見た、別の鳥の巣に自分の巣の卵を置いて育てさせる方法と同じなんだろうとれいむは理解した。 れいむは飼い主を見る。 「僕はこいつらを家に入れるつもりは無いよ。もしもれいむがこいつらと行きたいというなら無理強いはしない。 本当かどうかはどうあれ、もしもその方がゆっくりできそうだというなら、それでもいい」 飼い主は冷静だ。 飼い主がこの二匹に倒されるなどと言う事は万に一つも無いだろうというのはれいむにはわかっている。 しかし、こいつらは自身を自分たちの子であるという。 たしかに、極々僅かながらにそんな気がしないでもない、という気持ちがある。 多分これは親なんだろう。 「ゆ? それにしてもおちびちゃんがすくないね! かくれてないででてきてね! すぐでいいよ!」 れいむは他にも子供がいるんだろうと喚く。 おそらく茎に成っていた残り三匹の姉妹の事を言ってるんだろう。 「悪いけど、あの子たちは死んじゃったよ。栄養が足りなくてね。 せめてもう少し栄養が与えられていればね……」 飼い主は心底残念そうに事実を伝える。 すると二匹の汚い表情が更に醜悪になった。 「れいむのおちびちゃんをころしたなああああ!!! なんでちゃんとせわできないのぉぉぉおおおお!!?」 「ゆるせないんだぜ、このゆっくりごろし!!!!!!」 れいむは驚いた。 言っていることの意味がわからなくて驚いた。 飼い主はそのまま放置したって構わない自分と姉妹を、律儀に世話しようとしてくれていたのだ。 結果的に姉妹は死んでしまったが、この場合罵倒されるべきは栄養もままならない我が子を、いつ来るか知れない人間に任せようとした自分たちであるだろうに。 「おちびちゃん、はやくこっちにきてね! このゆっくりごろしはゆっくりできないよ!」 「おいにんげん、さっさとこのじゃまなものをどかすんだぜ! おちびちゃんははやくこんなゆっくりごろしのにんげんからはなれるんだぜ!」 れいむは決心した。 「おまえたちみたいなのはれいむのおやなんかじゃないよ」 こんな礼儀も身の程も弁えない者とは一緒にいたくはない。 例え生まれた時は恋焦がれた親だとしても、こんな醜悪な存在には近付きたくは無い。 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉおお!!!!」 もう見るに耐えない泣きっ面。 れいむは気持ちが悪くなった。 そんなれいむを飼い主は優しく手に包んで持ち上げていた。 「ゆっくりわかったんだぜ! おちびちゃんはにんげんにせんのうされたんだぜ! ゆるせないんだぜ!!」 洗脳……されてないとは言い切れないだろう。 現にれいむはゆっくりらしさが少々乏しい。 餡子が繋がって生まれたゆっくりならば、『ゆっくり』という言葉を様々な意味で使う。 たとえば『ゆっくりりかいしたよ!』や『ゆっくりいそいでね!』などだ。 これらは『よくわかった』、『はやくして』という意味になるゆっくり独特の言葉だ。 だがれいむにはそれがない。 更にれいむは飾りへの執着もまったくと言っていいほど無い。 飼い主がこっちの方がいい、といえば別の飾りを躊躇無くつけられるだろう。 だが、そもそもを正せばそれはこの親がしっかりと餡子の記憶を分け与えなかったからだ。 だかられいむははっきりろいう。 「れいむはこのかいぬしさんのかぞくだよ! おまえたちみたいなのがおやだなんて、しんじられないよ! いもうとたちをころしたゆっくりころし? ばかいわないでよね! かいぬしさんがいなかったらいまごろれいむもしんでたよ! そもそもおまえたちがあんなことしなかったら、いもうとたちだってしなずにすんだんだよ! でも、こんなおやのもとでそだったら、おそかれはやかれしんじゃってたかもね!」 れいむは生まれて初めて他者を罵倒した。 それはとても『ゆっくりできない』ことだった。 罵倒するれいむの表情は暗い。一言言うだけでとても気分が悪い。 こんなゆっくりできない言葉を何も感じずに言い続けられる目の前の野良ゆっくりの頭の中がわからない。 「ゆ、ッぎぃいいいいいいいいいいいいい!!!!!」 れいむが言い終えて一間空け、突然親れいむは奇声を上げた。 「ばりざあああああ! あんなのはれいぶのおじびじゃんじゃない! あんなくずざっざどづぶぜええええええ!!!!!」 「いわれるまでもないんだぜ! だまってきいてればすきほうだいいってくれたんだぜ! うんでやったおんをあだでかえすようなゆっくりできないがきはせいっさい!してやるんだぜえええ!!!」 れいむは涙を流した。 わかっていながらも、ここまで汚いものが親だとは思いたくなかった。 こんなものから産まれた自分。さっきもこいつらと同じような事を言った自分。 そんな自分を、飼い主は軽蔑してしまっただろう。 「それがお前の答えでいいんだな」 そっと、飼い主の手がれいむを包む。 生まれたばかりの頃と同じ、とても暖かくて気持ち良い……そう、これこそが親の温もりだ。 「ぶぼぉ!?」 飼い主は飛びかかろうとしたまりさを叩き落とし、れいむともども外へ放り投げた。 「ゆぶぇ?!」 「ぶびょる!」 顔面から地面に落ちる。幸いな事に歯はほとんど折れていないようだった。 飼い主はれいむをそっとテーブルの上に乗せて外に出た。 「このまま帰るっていうなら何もしないけど?」 飼い主は一応、れいむの親であることも考えて、出来るだけ穏便に事を済ませたい。 さすがに目の前で殺処分などできるはずもない。 こんなのでも同族、しかも親が殺されるところなど、優しいれいむは見たくないだろう。 「ふざげるなぁぁぁあ……まりざがまげるはずないんだぜぇえええ……。 いままでだで、にんげんはまりざがとおるどみちをあけてにげていっでだんだぜぇぇ……!」 それはただ汚いおまえたちに近付きたくないからだろう、と言おうかと思ったがやめた。 おそらく無駄だろう。 この手のゆっくりは言葉を喋るだけで会話は通じないものだ。 相手にするだけ心身に悪い。 そもそもれいむほど会話が成り立つゆっくりはそういない。 飼い主は溜め息をついてまりさとれいむを捕まえる。 「ゆぐぃいいいい! いだいいいいい! はなぜええええええええええ!!」 「はなぜ! せいっざいじでやるがらはなぜええええ!!!」 もう聞く耳は持たない。 飼い主は別にゆっくりを痛めつける趣味は無い。だから殺生をするつもりはない。 飼い主は窓を閉める。 れいむには、こいつらをもう会えないくらい遠くに捨ててくると行って待たせる。 飼い主は三重にしたゴミ袋に二匹をぶちこみ、ダンボール詰めにした後、近くの山へ車で行って二匹を投げ捨ててきた。 二匹は最後まで悪態をついて追いかけてきたが、ゆっくりに人間が、ましてや車に追いつけるはずも無かった。 山に捨てたのは、街で人間に殺される頃の無いように、というせめてもの情けだった。 帰ってみるとれいむは大分消沈していた。 無理も無い。あのような醜悪な存在が親だと知ったのだ。ショックも大きいだろう。 飼い主は何も言わず、ただれいむをやさしく手に乗せてゆっくりとなで続けた。 れいむも、温もりに包まれながらまどろみの中に意識を落としていった。 暫く後、大人と呼ぶに相応しいまでに大きくなったれいむは、今日は飼い主のために庭で草むしりをしていた。 あれから公園デビューを果たして友達も得た。 飼い主との仲も良好で、今れいむは本当に『ゆっくりしている』。 ふと、玄関の方で物音がした。 れいむは飼い主の言いつけどおり、いつでも逃げられるよう準備をしつつその音の正体を探りに行った。 そこには―― 「お、おじび、ぢゃん……」 「ゆっぐ、ゆっぐじざぜろぉ……」 いつぞやの野良ゆっくりがいた。 「なにかようでもあるの?」 「おぢびぢゃん、おがあざんを、ゆっぐりざぜで……」 みすぼらしい姿だが、これがあの日、自分の親だといったゆっくりだというのは理解できた。 なんと酷い姿だろう。髪は大分抜け落ちて禿げ上がり、片目は無くなって飾りはボロボロだ。 大分古い傷も多い。よく生きていられたと感心してしまうくらいだった。 だが、抱いた感想はそれだけ。 れいむは二匹の存在そのもには無関心だった。 「いやだよ。かいぬしさんにいわれてるよ、のらのゆっくりはきけんなばあいもあるからかいぬしさんがいるばあいいがいはちかづくなって。 だかられいむにちかよらないで、『ゆっくりしないで』さっさとどこかにいってね」 「ご、ごのげずはぁぁぁ、うんでやっだおんもわずれでぇぇぇ……!!!」 「うんでやったおん? すてられて『ゆっくりできなく』なりかけたのはしってるけど、おんをうられたおぼえはないよ」 「ばりざどでいぶがいながっだらおばえはうばれで――」 「それをしんじゃったいもうとたちにもいえるの? うまれるまえに、ほかでもないおまえたちのせいで『ゆっくりできずに』しんだいもうとたちに」 「それはあのにんげ――」 「おぼえてないんだろうからもういちどいうけど、かいぬしさんがいなかったられいむはしんでたよ。 おまえたちはかいぬしさんにおれいをいうたちばなのに、せきにんをなすりつけるなんて『ゆっくりしてない』ね」 ゆっくりできない、ゆっくりしてない、ゆっくりが最も嫌うという言葉で責め立てる。 もうれいむに目の前のゆっくりを親と思う気持ちは無い。 れいむの親は飼い主である男性だ。 彼も、れいむにそう思ってもらえることをとてもよろこんでいる。 だかられいむは、目の前のゆっくりには何も思わない。そこらに転がる石と同じにしか見ていない。 二匹はれいむが自分たちを見る冷たい目に恐怖した。 その目は、人間たちが自分たちを見る目と同じなのだ。 汚らしい汚物を見るような目。邪魔だと言って蹴り飛ばしたあの目。近付いてきて唾を吐きかけたあの目。 あの『ゆっくりできない』目と同じ目で見ているのだ。 あれだけゆっくりできない道を長い時間をかけてやってきたのも、すべてはこの家を、れいむを盾に手に入れる事。 しかし、許しを請えば子供として迎えてやろうと思っていたれいむに、遥か下の存在であると目で言われてしまった。 二匹は絶望した。 そして、もう感情の糸が切れ、れいむを襲い殺そうとしたその時―― 「ゆが?!」 「おぶぅ!」 二匹は何かに捕まり、いつぞやのように三重に重ねた大きなゴミ袋の中に放り込まれ、更に物置前のゴミ箱に投げ込まれた。 「れいむ、大事無いか?」 「だいじょうぶだよ。ゆっくりごめんなさい、いいつけをやぶって、のらにちかづいちゃったよ……」 「気にするな、れいむがとどめておいてくれなかったら進入されてたかもしれないからな」 この家の主、れいむの飼い主が帰ってきた。 飼い主はさっきの二匹がおそらくれいむの親だというのは気付いている。 それを承知でれいむに聞いた。 「あいつら、どうする?」 「かいゆっくりやにんげんさんにきがいをくわえそうなのらゆっくりは『さつしょぶん』するんだよ」 「れいむ、いいのか?」 「いいもわるいもないよ。それにれいむのおやはかいぬしさんだけだからね!」 満面の笑顔。そこに嘘はない。 れいむは本当にあの二匹を親とは思っていない。 飼い主はそれを聞いて、安心した、と言い、ゴミ箱から二匹の入ったゴミ袋を取り出す。 「ゆぐ、ぐぞにんげん……ご、ごろじでやる……!」 「ぜいっ……さい、だよ……!」 飼い主を確認した二匹は、まだなお汚い言葉を吐き続ける。 飼い主はそれに一切耳を貸さずにゴミ袋の口を持ち、地面に置く。 そして足を振りかざす。 「ゆ?! ゆあああ! やべで、やべでええええええええええ!!!!」 「やべるんだぜ! やべ、やめ、やべじぇええええ!!!!」 ただの鳴き声。そして泣き声。 もうそんなものは届いてはいない。 「やめぶべ?! ばぶぉ、ぎゅが! じにだぐべ、ないびゃ!!!!」 「ぐぞにんげぶぉ! やじゃべ?! ごべんなざぶう! ゆるびゅで!!?!?」 飼い主は黙々とゴミ袋を潰していく。 さすがに大人となったゆっくりを潰すとなると袋一枚程度では敗れてしまう可能性がある。 聞くところによるとゆっくりの中身はゆっくりにしかわからない臭いがするという。 そんな臭いがついたものを近くに残してれいむにいやな思いはさせたくない。 だから家から出て踏み潰した。 一分ほど満遍なく踏み潰し、袋がピクリとも動かなくなったのを確認して飼い主はゆっくり専用のゴミ回収箱に袋を捨てた。 これでもうれいむをおびやかすものはなくなった。 正直、まさか本当に戻ってくるとは思わなかった。 飼い主はれいむを抱き抱えて庭の片隅へ行く。 そこには小さな山があった。 れいむの姉妹の墓である。 今日はこの姉妹たちの命日であり、れいむが産まれた日。 飼い主はれいむの姉妹たちを救えなかった事を謝罪し、そのかわりにれいむだけはしっかり天寿を全うするまで育てると墓前に誓った。 「かいぬしさん、『なでなで』してほしいよ!」 「ああれいむ、今日はお前の誕生日だからな。お願い事は何でも聞いてやろう。 おまえの大好きなものも今日はいっぱい――――」 れいむは幸せだった。 生まれはたしかに不幸だったかもしれない。 しかし、今はこうして幸せに生きている。 その事に関しては、あの親と名乗っていた野良ゆっくりに感謝の意を感じてはいた。 もしもあの時、真っ当に更正していたのならば、例えみすぼらしい姿であっても、受け入れていいとも思っていた。 飼い主はれいむを甘いと言っていたが、それだからこそれいむだ、とも言った。 れいむはこの後六年の間、飼い主からの愛情をたくさん受け、とても『ゆっくりした』笑顔で天寿を全うした。 その遺骸は、亡き姉妹と同じ場所のすぐとなりに、丁重に葬られた。 終 ダメ!ぜんぜん生かせない! オチがどうしてもしっくりきません。どうしたらいいんでしょう。 愛したいのに愛しきれない! ボキャブラリの問題以前……なれないことしないでゆ虐してろってことなんでしょうかね。 anko1241 ゆっくり教材Vol.1『野良に憧れるれいむ』 anko1257 ゆっくり教材Vol.2『大人になれないまりさ』 anko1272 ゆっくり教材Vol.3『ゆっくりありすの注意点』 anko2390 ゆっくり教材Vol.4『ゆっくりぱちゅりーの弱さ』 anko1246 特集『ゆっくりに脅かされる農家』 anko2426 ゆっくり研究所 anko2430 ああ、無情。 anko2433 ゆっくりは繰り返す anko2439 ゆっくりがいる日常。 anko2421 生きてるのは知ってるけどそれが何か? anko4106 ゆっくり教材Vol.5『ペットとちぇんと野良と飼い主』
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『あれ?お前のゆっくりどこ行ったんだ?』 『昨日の夕方から見てないわ、いきなり消えちゃったのよ』 『ふーん… ゆっくりらしいな』 午後8 00、○○市内にある薄暗い公園、その唯一の入り口に2台のバイクが停まっている。 高い位置にあるハンドル、段つきのシート、けばけばしい色合いの車体、 こんなバイクの持ち主が溜まる公園に人はまず近寄らないだろう。警察と同族以外は。 その公園の中、冷たく光る電灯の下で3人の男が何かを囲んでいる。 男が茶色の酒瓶を使ってそれを軽くつっつき、囲まれた何かが喚く。 「いたいよ! やめてね!」 「何なのコレ?きもー」 男達が公園を訪れた時、公園のど真ん中でゆっくりしていってね、と叫ぶ生き物がいた。 まん丸に近い球体の体、黒く長い髪の毛、地味な公園に映える鮮やかな赤のリボン。 まるで人の生首の様なものだが、鼻は無い。 その目つきは挑発する様に真っ直ぐ人を見つめ、口元は自信ありげに微笑んでいる。 『ゆっくり』と呼ばれる、3人の男達が今まで見た事も聞いた事も無い生き物である。 驚いた事に言葉まで喋っている。 「ゆっくりしていってね!」 とまた叫ぶが、こんな不可解な生き物と共にゆっくりする気にはあまりなれない男達。 2時間後の某所での集会もあり、公園でいつものように仲間だけとだべっていたいのだ。 よく分からんが出ていけ、と眉の無い男が言う。 「やだよ!れいむはここでゆっくりしてるよ! れいむのゆっくりは誰にもじゃまさせないよ!ふふん!」 それを聞いて金髪の男がギャハハと笑う。 以前に自分の単車を蹴られた時と同じ、口だけが笑う笑い方だった。 彼は自分の空間に異物があるのを我慢出来ない男だった。 そして、ビールで少し酔っていた。 「いーじゃんいーじゃん、よくわかんねーけど集会までコイツで遊ぼうぜ れーむちゃんだっけ?僕と遊びましょーね!」 そう言って立ち上がり、キッと睨みつけるゆっくり霊夢の頬に向かって、 すこしだけ手加減した蹴りを放った。 それでも尖った靴のつま先から入る、非常に危険な蹴りだった。 『いきなり消えた?どこに?』 『知らないわよそんなの、どうせその辺ブラついてるんでしょ』 「いたい! れいむにいいつけてやる!」 「あぁ?」 ゆっくり霊夢の頬に、痣の様な黒い傷が出来た。 攻撃されたゆっくり霊夢にとっては最早、目の前の男達は敵同然。 最高に有効な脅し文句を叫ぶ。これで退かない者はいない。 「何言ってんだコイツ、誰に言いつけるって?」 「っつーかタカちゃんさー、馬鹿でしょマジで こんなワケの分からないのイキナリ蹴っ飛ばすとかさ」 「れいむは強いんだよ!おまえたちなんて簡単にやっつけちゃうんだよ!」 「そォ?じゃやってみろや」 ゆっくり霊夢は飽くまで退かない。強気の態度を崩さない。 自分には強い味方がいるのだから。今に自分を助けにくるのだから。 だから金髪の男を睨みつけるのを止めない。 強い意志を込めて、怖がらずに男を睨みつける。 男は、そんなゆっくり霊夢に更なる攻撃を加えんと 白いダブダブのズボンを履いた脚を振りかぶった。 吹っ飛ぶゆっくり霊夢。 男は、今度は本気だった。 「あーあ…、タカちゃん程々にね 遅刻したらまたミッチーに殴られちゃうよ」 「俺ちょっとビール買ってくるわ」 夜の公園内にドスッ、ドスッと砂袋を叩く様な音が響く。 男はそろそろ手加減を始め、白いズボンを脱ぎ始めた。 「オイオイ…」それを見て頬を引きつらせながら笑う男の仲間。 ゆっくり霊夢は力なく横たわり、薄目を開けたまま、 時折ピクッ、と震えた。もう叫ぶ事も、動く事すら出来なかった。 それでも希望は失っていなかった。 自分のヒーローは直ぐに助けに来てくれる。 ぶっきらぼうな態度がゆくりしてない奴、でも大好きな自分のヒーローが助けに来てくれる。 男はスボンを足首まで下げ、それを蹴り飛ばす様に砂場に放った。 タカちゃんと呼ばれた彼だが、彼は死んだ蝶々に 小便を引っ掛けるのが子どもの頃から好きだった。 そしてその嗜好は今でも変わっていない。 彼はゆっくり霊夢の上に、お尻を乗せる様にしてしゃがみこんだ。 仲間の一人が最寄りのコンビニに向かう為にバイクをふかせた。 彼はもう一本ビールが飲みたいな、と思った。 勘弁してよタカちゃん、と仲間の男が笑った。 『ふーん、ゆっくりらしいな』 『……』 『心配にならないのか?』 『何がよ』 『お前のゆっくりがお前に何も言わずに どっか行くなんて今まで無かったろ?』 『……』 『探しに行こうぜ、どうせ暇だしさ』 「オラ、残ってんぞ?」 ゆっくり霊夢は男の便器になっていた。 口はを閉じられない様に酒瓶が突っ込まれ、 金髪の男の尻から出ていったものは全て口内に流し込まれた。 ベンチの上にあった新聞紙で尻を拭く男、それを見て噴く男。 「ギャハハハハ!!タカちゃんマァジパねェ!」 ゲラゲラと笑う仲間。彼が初めて、友人のこの癖を見た時は 衝撃を受けたものだが、今ではもう慣れっこである。 初め薄目を開けたまま、ゆっくり霊夢はピクリとも動かなくなっていた。 あまりに酷い現実に思考が半分停止しているのだった。 昨日まではゆっくりお煎餅を食べていたのに、ゆっくりしていたのに。 またゆっくりしたいよ、助けて。 そう思ったところで、ゆっくり霊夢はまた吹っ飛んだ。 男は気が済んだと言わんばかりに、ゆっくり霊夢を蹴り飛ばしたのだ。 口の中に入りっぱなしだった酒瓶は破裂し、歯は砕け散り、 ガラス片はゆっくり霊夢の口内を滅茶苦茶にしてしまった。 4m程も吹っ飛び、ブランコの近くで朦朧とするゆっくり霊夢。 ゆっくり助けて、れいむはゆっくりしたいよ、またれいむとゆっくりしたいよ 朝起きて、ねぼすけなれいむを起こして、怒られて、でも一緒にご飯を食べて、 お膝の上でゆっくりお昼寝して、れいむのお友達とまりさと遊んで、 一緒においかけっこして、れいむが迎えに来て、夜は一緒のお布団で眠って、 れいむがれいむのお布団をとっていって、取り返そうとしたら怒られて、 れいむ、れいむ、れいむ、助けて 『どうする?行くか?』 『大丈夫よ、危ないところは教えてあるし どうせそのうちひょっこり出てくるわ』 『そうか』 『そうよ、だって癪じゃない あいつを心配して探しまわったなんて知られたら』 『あいつすぐ調子にのるし、むかつくニヤニヤ笑いする… ちょっとなに笑ってんのよ』 「れーむちゃん動かなくなっちゃったね…死んじゃった?」 「タカちゃんのウンコ臭過ぎたんじゃね? ヨシキ帰ってきたし、もう行こうよ」 「おぉ、最後に生きてるかどうか確かめようぜ ヨシキ、お前ジッポのオイル持ってるだろ?アレ貸せ」 「オオ、いいね!花火だよ!夏だね!」 おわり。 このSSに感想をつける
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おかされいむ 19KB 観察 実験・改造 れいぱー 自然界 都会 ぺにまむ 「餡子ンペ09」3.改造「無双」 ※独自設定垂れ流し。 ※注意!ぺにまむすっきり大量。本当に大量。 ※餡子ンペ出展。 ※四十八手あき様の絵より多大なインスパイアをいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。 「ふぅ…。」 丘を登り終えると、お兄さんは汗を拭いて一息ついた。 研究一辺倒で篭りがちの彼には、ゆるい上り坂でもちょっときつい。 「さあて、ここにいるかな…。」 近くの村で彼が聞いたところ、小規模ながらここに群れがあるらしい。 その中に、私の目当てのゆっくりがいるといいのだが。お兄さんはそんなことを考えていた。 「おかされいむ」 必殺引篭り人 お兄さんが休んでいると、一匹のゆっくりれいむが通りかかった。 「ゆっくりしていってね!」 そのれいむに彼が声をかけると、 「…ゆ、ゆっくりしていってね!」 驚きながらも返事を返した。 「ちょっと聞きたいことがあるんだ。何もしないから話をさせてくれないか?」 「ゆっ!にんげんさん、おはなしってなに?」 彼には驚きだった。野生種だから警戒心が強いかと思っていたのだ。 「実はすごく母性の強いゆっくりを探しているんだ。」 「ゆー!それなられいむがそうだよ!れいむはむれのなかでいちばん『ぼせい』がつよいよ!」 れいむ種は母性(笑)が売りのゆっくりだ。まあそう答えるだろうな、とお兄さんは感じた。 「ただ強いだけじゃダメなんだ。すご~く強い、もうお母さんになるしかないっ!ってくらいの 強さじゃないと。」 「れいむはもうおかあさんになるしかないっ!くらいつよいぼせいだよ! むれのなかじゃ、れいむのぼせいにあやかりたいってゆっくりがいっぱいなんだから!」 ウソつけ。 お兄さんはつい本音を言いそうになった。が、ここはぐっとこらえてもう一度確認する。 「本当かい?じゃあ、すごく美ゆっくりなゆっくりまりさが 『れいむの赤ちゃんを産みたいんだぜ!』 とか言ったられいむはどうする?」 「ゆゆっ!?そんなのゆっくりしてないよ!あかちゃんをうむのはれいむのやくめだよ!」 「そのまりさがまむまむを開いて 『れいむのぺにぺにでおそらにとばしてほしんだぜ!』 って言ってきたら?」 口にしたら、さすがに鳥肌がたった。寒気のする発言をしてしまった。お兄さんは後悔する。 しかしれいむの返答はさらにおぞましかった。 「ゆーっ!そんなのまりさじゃないよ!まりさは、まりさはぺにぺにをぎんぎんにして れいむにおそいかかって、それでれいむのばーじんなひみつのはなぞののまむまむと いっせいいちだいのおおしょうぶを…。」 ごめんなさい。それ以上聞きたくありません。お兄さんは意識を強制パージしてしまう。 その後、れいむが5分以上も必死に訴え続けていたのだが、彼の意識は完全に現実から切り離されて おり、何も聞いていなかった。 5分後。 「…はっ!?そ、そうなのかー。すごくぼせいがつよいのかー。」 つい棒読みになってしまうお兄さん。なんだか変な口調になっていた。 「ゆゆゆ!!やっとわかってくれたの!?ゆっくりりかいしてね!」 れいむは必死だ。…そう、彼の求めているのは、こういうゆっくりなのだ。 「話を聞かせてくれてありがとう。お礼にこのあまあまをあげるよ。」 お兄さんはケースから一粒のお菓子を取り出した。 「あまあま!?ほしいよ!れいむ、あまあまたべたいよ!」 「じゃあ口を開けて。」 あーん、と開けた大口に放り込む。ぱああ、と喜びの顔になるれいむ。 彼はさらにケースから何粒か取り出して口に放り込んだ。そのたびにうれしそうな顔をする。 しかし、その顔もすぐに変わった。まぶたを重そうにしているれいむにさらにお菓子を食べさせると、 あっというまに眠ってしまう。 そう、どんなゆっくりも眠ってしまう魔法のお菓子。その名をラムネという。 お兄さんは眠り込んだゆっくりれいむをリュックサックに入れると、その場を後にした。 研究所に戻った彼は、さっそくゆっくりれいむの処置にかかった。 傍らには大量の栄養剤を投与し、さらに電気あんまを仕込んだ床の上で振動を与え続けている ゆっくりありすがいる。実はこのありす、れいぱーなのだ。 今このありすの頭の中には、ほかのゆっくりと『とかいはなあい』を交わすことしかない。 完全なるれいぱー状態だ。 お兄さんの研究は、このれいぱーの性質を逆転させられないか、というものである。 れいぱーありすの体液をほかのゆっくりに投与すれば、確かにそいつはれいぱーになる。 これは当然。では逆は? つまり、『犯されまくりたい』という状態、ニンフォマニア(女子色情症)なゆっくりは作れない のか、ということだ。 れいぱーありすの体液では『犯したい』という状態にしかならない。振動だけでは『すっきり』 すればすぐに元に戻ってしまう。 れいぱーのごとく無限に続く発情、それを実現させるにはどうすればいいか。 まずは無限の発情、これはれいぱーの体液を使う。 次に『犯されたい』という受け状態をどう確保するか、であるがこれには『母性(笑)』を使う ことにした。母性とはメスの気質が根底にある。より強力な母性を持つものは、それだけメス、 つまり『受けたい』という力が強いはずである。そのためにこのゆっくりれいむを捕まえたのだ。 (↓ここから下は気色悪いので読み飛ばしてくださって結構です↓) お兄さんはありすから体液を注射器で大量に取り出した。大量出餡にあたる行為だが、栄養剤の おかげでありすはぴんぴんしている。 次にこの体液を2つに分け、片方にラー油を混ぜる。下準備はこれで完了だ。 眠っているれいむにさらに数個のラムネを追加する。寝ていてももぐもぐと口を動かして食べる ほど、ゆっくりは甘味好きである。 れいむを振動盤にのせると、すぐにあごの下あたりにまむまむが見え始めた。 まずはれいぱーの体液をガラス棒にたっぷりと取り、まむまむに突っ込む。まむまむの内側に 大量の体液をしっかりと塗りこめていく。 その体液は不思議とよくなじむ。まむまむの内側はしっとりもちもちに変化していくばかりか、 体液をどんどんと吸い込みさらに妖しくてらてらと光っていく。 次に、まむまむの奥底にラー油添加の体液を落とす。数本のガラス棒でまむまむを開けば後は その中に落とすだけでいい。これで、いくらすっきりしてもラー油効果でにんっしんっは しない。 れいぱーの体液はなぜかすごく高性能で、痛みを感じさせない成分がある。 これとまぜることでラー油による痛みをれいむに感じさせずにひにん!が完了する。 あとはおでこのあたりにラー油添加体液をぬる。これで植物型にんっしんっもひにん!完了だ。 最後に体液をオレンジジュースで薄めたものをれいむの体のあちこちに注射しておいた。 仕込みは万全だ。 (↑ここまで。要するにれいむはすっごく改造されちゃいました。↑) 研究お兄さんは先ほどゆっくりれいむと出会った丘に戻った。いまだ眠り続けるれいむを草むらに 投げ込むとすぐに研究所に引き返す。 れいむにはリボンに高性能小型カメラ&マイクを仕込んである。これで研究所にいながられいむの 様子が観察できるわけだ。 そして研究お兄さんが見たもの。それはこのれいむの、世にもおぞましい転落のゆん生だった。 「ゆぴー…、ゆぴー…、…ゆ…?ゆっくりしていってねっ!」 元気に目覚めると、そこはいつもの丘だった。話していた人間もいない。 「ゆー?にんげんさん、かえっちゃったの?れいむ、ゆっくりねむっちゃったんだね!」 ついうっかり、などと考えているに違いない。眠らされて体を改造されたというのにのんきな事である。 そこに群れの仲間のまりさが通りかかった。 (ゆっ!あれはまりさ!…ゆー、まりさは本当に美ゆっくりだね!れいむ、およめさんになりたいっ!) などということを考えているのだが、口からもれた言葉は、 「まりさはびまりさだね!れいむ、まむまむがうずいてたまらないよ!」 大変に下品な内容だった。どういう餡子脳変換だろうか。もしかするとれいぱーの体液が中枢餡に 影響したのかもしれない。モニターを見つめる研究お兄さんは思った。 「ゆっ!れいむ!ゆっくりしていってね!」 「まりさ!ゆっくりしていってね!…それと、れいむですっきりしていってね!」 発言がストレートすぎる。 「ゆゆゆぅ!?れいむはまりさとすっきりしたいの!?」 「そうだよ!もうれいむのまむまむ、えくすぷろーじょんしそうだよ!」 「じゃあまりさのぺにぺにでますたーすぱーくしようね!」 聞くに堪えないんですけど…。自分でやっておいてなんだけど、もう監視カメラの音声映像を止めたい 気分だ。研究お兄さんはしかめっ面をしていた。 彼の気持ちなど当然のごとく無視し、2匹はあっという間にすっきりをし始めた。 「ゆっ、ゆっ…!れいむのまむまむ、きゅんきゅんしめつけてくるね!」 「いいよぉ…!まりさのぺにぺにがれーばてぃんさんだよぉ!」 「そろそろ…、いくよ!」 「れいむも…!」 「「すすすすすっきりー!!」」 さあ、ちゃんとひにんっ!はできているのか?ぐぐいっ、とお兄さんがモニターに近づく。 さすがにカメラはれいむのおなかを映せないため確認できない。ただ、画面の端を確認すると 頭から茎は生えていないようだ。画面下のれいむの肌はツヤツヤもちもち、さらにしっとり しているように見えた。 「ゆゆん…、れいむのまむまむはさいこうだよぉ。まりさついがんばっちゃった!」 「ゆーん、れいむもだいすきなまりさとすっきりできてしあわせー!だよ。ふたりであかちゃん そだてようね。」 「ゆっ!そうだよ。あかちゃんはげんきなの?」 そういってれいむを見る。しかしそのおなかは大きくなっていない。頭にも何も生えていない。 「れ、れいむ…?ぽんぽん、おおきくなってないよ…?あたまにもくきさんがはえてこないよ…?」 「ゆふー、ゆふー…。なにいってるのまりさ?れいむはまりさのあかちゃんをにんっしんっ…、 ゆゆゆゆ!?!?」 体に何も変化がない。まりさが落胆したのも当然だ。野生種にとって、赤ゆっくりは最上のゆっくり できる贈り物。好きな相手が赤ゆっくりを産めないとなれば、 「ゆっ!!れいむはにんっしんっ!できないだめゆっくりなんだね!もうれいむなんていらないよ!」 こうである。まりさはれいむを見限り、あっという間に群れへ帰っていった。 「ゆーっ!まってまりさ!れいむは、れいむはにんっしんっ!できるよ!」 れいむの声がこだました。 大好きだったまりさに捨てられ、落ち込んだれいむ。仕方なく群れに帰っていった。 そう、今まさに地獄と化そうとしている群れに。 「ゆー…、ゆっくりただいまだよ…。」 そう挨拶をしながら群れの広場に入る。そこには…。 「わ゛がら゛な゛い゛よ゛ー!」 「ごん゛な゛の゛どがい゛ばじゃな゛い゛わ゛!」 逃げ惑う群れの仲間達。それを追いかけるのは 「まちなさい!ありすがさいこうのあいをあげるわ!」 「こっちのありすはとかいはね!ありすのしこうのゆっくりをそそぎこんであげる!」 れいぱーありす達だった。群れはれいぱーに襲われていたのだ。 「ゆゆゆーっ!?」 れいむはあまりの出来事に驚き、すっきりの疲れもあって動けなくなってしまった。 そこにれいぱーが襲い掛かる! 「ゆ~ん!なんてとかいはなれいむなの!?」 「まあ、こんなにまむまむをくぱぁっとさせて!」 「ありすたちをさそってるのねぇぇええ!?」 どうやられいぱーの体液をたっぷりととりこんだまむまむは、ゆっくりを誘う力があるらしい。 てらてらと光り、ぬめぬめとうねるその部分は、火が害虫を誘うがごとくゆっくりをいやらしい気分に させて引き寄せる。 (い、いやだよ…、れいむはれいぱーなんてだいきらいだよ…。) そう思うものの、れいむの餡子の奥がなぜかうずく。 (ど、どうしたの…?れいむ、れいぱーのことなんてだいきらいなのに…、きもちわるいはずなのに…。 どうしてこんなに惹かれてるの!?) なお、この思いが口にもれるとこうなる。 「ゆー、れいぱーはすごくゆっくりとすっきりできそうだよ!さっきのまりさみたいなそーろーじゃ たのしめないよ。れいむはれいぱーとすっきりしたいよ!」 すごくストレートな発言に変換されていた。 もちろんありす達はその言葉に興奮も頂点だ。 「むほおお!なんてとかいはなの!いいわ、ありすがごくじょうのすっきりをあげる!」 「ありすにあいされてれいむはしあわせものよぉぉおおお!」 「いっぱいあいをそそぎこんであげるわぁぁぁ!」 一気にれいむに襲い掛かる。 「いいよっ!れいむですっきりして!れいむはいっぱいありすとすっきりしたいよ!」 この異常な状況で気がふれてしまったのか、それとも餡子の奥底から沸き起こる情欲に身をまかせて しまったのか。 れいむは素直にれいぱーを受け入れた。 「みんなっ!あそこでいやらしくゆっくりしているれいむがいるわ!」 「なんてとかいはなの!あんなにゆっぽりとぬれているまむまむははじめてだわ!」 群れの仲間を追い回していたほかのれいぱー達も、れいむに引き寄せられていく。 れいむを中心に、すべてのれいぱーが集まった。交代でれいむのまむまむをギンギンのぺにぺに で貫き、それをまっているありす達はれいむの頬といわず全身をすりすりで攻め上げていた。 「むほおお!すぐにありすのあかちゃんをはらませてあげるわあああ!」 「さあ、いっぱいありすのあかちゃんをうんでねぇぇぇ!」 ちなみに研究お兄さんはこの映像をみてあまりのおぞましさに吐き気を催しトイレに駆け込んでいた。 れいむ vs れいぱーありす軍団。恐ろしくもおぞましい勝負の結果は。 れいむの圧勝であった。 「ゆっ…、も、もうすっきりー!できないわ…。」 「ぜつりんすぎる…。こんなのとかいはじゃないわ…。」 「これいじょうはありすのあいがぶろーくんよ…。」 「なんでこれだけあいしてあげたのにあかちゃんができないの…。」 れいぱーありす達はすべてのすっきり能力を使い果たし、ヨボヨボになっていた。 れいむはというと。 「まだまだたりないよ!ありすたちはそーろーだね!」 とても元気であった。これにはモニター前の研究お兄さんも唖然としている。 (注射した体液がおかしな作用をしているのか?それともれいむの母性(笑)との相互作用の 結果だろうか…。なんにせよ、面白いデータが取れたな。) 元気どころかれいむはさらにお肌ツヤツヤ、しっとりもちもちとなり、健康そのものであった。 (どうやらありす達に注ぎ込まれた愛、じゃなくて精子餡が栄養分になってるようだな。 れいむはひにんっ!済みの個体。赤ゆっくり用に高栄養の精子餡が、赤ゆっくりができない ために母体の栄養になってしまっているのか。) 研究お兄さんからは見えないが、れいむのまむまむはさらに妖しく光っていた。小さな穴ではあるが、 ゆっくりが見れば一目でわかる。恐るべき誘引力をもったまむまむとなってしまった。 れいぱーありす達がれいむによって追い払われると、群れの全員がれいむを取り囲んだ。 「すごいわれいむ!あのれいぱーたちにかっちゃうなんて、すごくとかいはよ!」 「わかるよー!れいむはきゅうせいしゅなんだねー!」 「むきゅっ!ありがとう、れいむ!おかげでむれはすくわれたわ!あなたはむれのえいゆうよ!」 そんな感謝の言葉も、今のれいむには届かなかった。 (ゆぅ…。もっといっぱいすっきりしたいよ…。…れいむ、どうなっちゃったの?まえはこんな いんらんなことかんがえなかったのに…。) そんなことを考えていた。しかし口から漏れたつぶやきは、 「あのありすはそーろーだったよ…。あしたからつぎのえものをさがさなきゃ…。」 なんとも素直な言葉だった。 次の日。群れに2度目の災厄が襲い掛かる。 (…ど、どうしよう…。れいむ、すごくへんだよ…。あさからまむまむがじゅんじゅんするよ…。 こんなところ、ほかのゆっくりにみられたら…) 心の中では一応、以前のれいむとして考えている。 「おはようだぜ、れいむ!きのうはすごいかつやく…。」 だがゆっくりを前にすると、口が勝手にしゃべりだす。 「いいからさっさとぺにぺにだしてね!れいむのまむまむはじゅんびばんたんだよ!」 「なにをいって…、ゆ、ゆぎゃぁぁぁ!?」 「おはようれいむ!すごくとかいはなあさね!きのうはほんとうに…。」 「なにむだなあいさつしてるの?ばかなの?しぬの?」 「え、れいむあなたなにを…。い、いやぁぁぁ!?とかいはー!?」 「おはようなんだよ、れいむ!むれのえいゆうはとってもはやおきなんだねー、わかるよー。」 「ばかなまんじゅうどもをせいてきないみでくいたいだけだよ。」 「!?!?わ、わがらないよー!?ら、らんじゃまぁぁぁー!!」 出会うゆっくりは皆、れいむの餌食となっていった。恐るべきはそのまむまむ。妖しく光を反射 するソコは見るゆっくりすべてをギンギンのぺにぺににさせる最終兵器。 「むきゅー…。れいむ、わるいけどむれからでていってほしいの…。」 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉ!?」 どうしても何も、群れのゆっくりのほとんどを『喰って』しまっているのだ。 番がいるゆっくりには強度の不和を、独り身のゆっくりには『すっきりへの恐怖』を。 れいぱーが襲ってきた以上に恐怖を撒き散らしているれいむを、群れの長であるぱちゅりーは 寛大にも追放処分で済ませようというのだ。 結局、群れのゆっくり達の怒号もあり、れいむは追放されてしまった。 普通のゆっくりであれば群れから距離を置き、森の中で自活すれば済む事も、今のれいむには完璧に 無理であった。なにせあのれいぱー群を一人で受けきったのだ。もうすっきりー無しの生活など 考えられない。むしろすっきりーこそが生活なのだ。 森の中にはいられない。れいむは森を出て街を目指した。 「…ゆゆっ!?な、なんていやらしいゆっくりなんだぜ!」 街のはずれ。そこで出会った野良ゆっくりまりさはれいむを一目見てとりこになってしまった。 しかしそこは街ゆっくりとしてのプライドがある。つい罵るような口調になってしまう。 (ゆー、このまりさはきたないよ…。) 「ゆ!まりささまをみてほれそうになってるのぜ?いいのぜ、ほれて!」 (あめさんがふったあとにおそとへでても、このまりさほどきたなくならないよ…。) 心の中で反発しても、 「まりさはそーろーまりさなの?そうじゃないなら、れいむのここでしょうめいしてね!」 もみ上げで自分のまむまむを指し示す。心と体の乖離は進む一方だ。 「ゆゆゆぅ!?まりささまをばかにするんじゃないんだぜ!てんごくにうちあげてやるんだぜ!」 そういってれいむに襲い掛かる。 「ゆっゆっゆっ!どうなんだぜぇ!?すぐにすっきりー!させてやるんだぜぇぇ!」 「どうしたの!?もっとはげしくできないの!それじゃほかのまりさとおなじだよ!」 ちなみに心の中ではこう思っている。 (こんなげすなまりさにおかされるなんて…!?でもくやしいっ…かんじちゃう…、ゆっ!ゆっ!) 悲劇のヒロインに酔っていた。ある意味では心と体は乖離していないのかもしれない。 そんなれいむの葛藤(?)も知らず、まりさはれいむに襲い掛かる。 れいむはれいむでもみ上げを器用に使い、まむまむをくぱぁっとさせていた。 「ゆっ!ゆっ!ど、どうなんだぜぇ!まりささまのびっぐぺにぺにですぐにすっきりー!させて やるんだぜぇ!」 「ゆっ、ゆぁん!な、なかなかだね!でもまだだよ!」 ちなみに研究お兄さんはもうすっきりー!の様子は見ないようにしている。対れいぱー無双の際、 あまりの気色悪さに吐いてしまったためだ。 「ゆっ!そろそろとどめなんだぜ…!ゆゆゆぅぅ…、すっきりー!」 「すっきりー!」 「…ゆはぁ、ゆはぁ…。ど、どうなんだぜぇぇ…。まりささまにほれたんだぜ!?」 「…ゆー!こんなんじゃたりないよ!」 れいむはまだまだ元気だった。自分にのしかかったままのまりさをお腹でぶるぶると震わせ、ぺにぺに をもう一度復活させる。 「な、なにするんだぜ!?」 「こうするんだよっ!」 れいむのモチモチお腹がボヨンとまりさを打ち上げる。 「ゆー!おそらをとんでるみたいなんだぜー!」 そして落ちてきたまりさをまむまむで受け止める! 「ゆっ!これくらいじゃないとれいむはまんぞくできないよっ!もういちどっ!」 「ゆー、おそらを…」×10回 「これでとどめだよっ!ゆっ!!」 「「すっきりー!!」」 れいむの対れいぱー奥義『すっきりすぱーく』が炸裂した。本来はれいぱーありすをうまく誘導し、 すっきりさせる際に地面に打ちつけるものだが、れいむはこれを純粋にすっきりのために使っている。 「ゆゆーっ!?」 まりさが大量に精子餡をれいむに放出した。改造版すっきりすぱーくの効用がこれだ。 まりさが急激にしおれていく。それに比例してれいむはツヤツヤのモチモチ、性欲全快の顔つきだ。 「ゆっ!なかなかだったよまりさ!」 「…ぜはぁ、ぜはぁ…。も、もうすっきりーなんてごめんなのぜ…。」 しおしおになってしまったまりさにお義理の礼を言うと、れいむはこれからのすっきりー!性活に 胸を躍らせながら街の中へと跳ねて行った。 その後れいむは街のゆっくりを一匹残らず『喰って』いった。研究お兄さんもさすがにこれ以上は 無意味と考え、モニターを切ってしまう。 「ふぅ、結局あまり有用なデータは取れなかったな…。れいぱーがある種の個体数調整にかかわって いることは確かだが、逆れいぱーには何の意味もなかったか…。ま、自然界に逆れいぱーが いないのが何よりの証拠かもな…。」 しかしお兄さんの考えは間違っていた。短いスパンで見ればただキモチワルイだけだが、長期で見た 場合に逆れいぱーは異なった影響をゆっくりの集団に与えたのだ。 「ねえまりさ!そろそろとかいはなあかちゃん…、つくらない?」 森の群れで番になった若妻ありすが言う。しかしその言葉にまりさは。 「…ゆ、ゆわぁぁぁ!?!?ずっぎりはごわいよぉぉぉ!!」 逆れいぱーれいむに喰われたときのことがトラウマとなり、まりさは『すっきり恐怖症』になっていた のである。 街も同様にすっきりを異常に怖がるゆっくりであふれかえってしまった。 こうして1匹のゆっくりにより、森の群れと街の野良ゆっくり達は赤ゆを作れなくなり、その個体数 を減らしていった。 図らずも研究お兄さんは手間のかからないゆっくりの根絶方法を作り出したわけだ。 街の野良ゆっくりがれいむを恐れて逃げ出すようになって数週間。れいむは『すっきり禁断症状』に 悩まされていた。 そしてれいむは禁断の方法に手を染める…。 「ゆゆうううううう!!ぞごの美お兄さんんんんん!! でいぶでずっぎりじでぐだざいいいいいいいい!!」 れいむはもみ上げをしきりにまむまむへと突っ込む。ジュボジュボと妖しい汁を噴出させて 誘うれいむ。 「いやらしい雌饅頭のまむまむをお兄さんのぺにぺにでめちゃくちゃに虐待してくださいいいいい!! でいぶを、でいぶをはやくおぞらにどばじでぇぇぇ!!!」 そう、れいむは人間を誘っているのだ。それも浮浪者達を。 「おうおう、このオナホは元気がいいなぁ!」 「ああ、なかなかのモノだったぞ!」 「おいおい、ゲテモノ喰いにもほどってもんがあるだろ!」 「いやいやいや!試してみろって!なかなか従順だし、なにより感触は最高だぜ! しかもあったけーしな!」 「…、確かに最初は気色悪かったが、よくよく見りゃなかなかのモノっぽいな…。」 「なっ!試してみろって!」 「はやく!はやく雌饅頭をめちゃくちゃにしてくだざいいいいい!!! もうでいぶはどうなっでもいいでずがらぁぁぁ!! ここを、ここをぶちこわしてほしいんでずううう!!」 浮浪者たちに囲まれ、れいむはどこまでも幸せだった。 …どうしたんだろう俺。こんなもの書いて、なんか変なものでも溜まっているんだろうか…? 批判は甘んじて受けます。 次回からは短編、直接虐待と言葉攻めの2本を考えております。 できたらその次に希少種しあわせー!物を書いてみたい。 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 111 効率化の道 ふたば系ゆっくりいじめ 147 陰口 ふたば系ゆっくりいじめ 177 人間の畑だと説得してみよう ふたば系ゆっくりいじめ 182 どすすぱーくをうつよ! ふたば系ゆっくりいじめ 216 子まりさの反乱 ふたば系ゆっくりいじめ 248 ゆっくりできない理由 ふたば系ゆっくりいじめ 387 れいむはよげんしゃ ふたば系ゆっくりいじめ 464 ゆ身売買 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 性的な意味でが、今年の流行語大賞だね -- 2013-04-02 10 05 30 このれいむほしい 一緒にすっきりしたい このれいむで部屋を埋めつくして 毎日すっきりー!! ってしたいよ!!!! んほおおおおおおおぉぉぉ!!!!! -- 2013-01-10 18 05 44 このれいむキモ過ぎる。 ・・・・・・ふぅ。 -- 2012-07-31 14 59 11 これはひどいw…性的な意味で -- 2012-04-03 23 59 23 ちょ、ヤバッ、オェェェェェェェッ、ウェ -- 2012-03-27 01 30 24 浮浪者と聞いて 『私が僧衣を脱ぐ日』を思い出した -- 2011-11-24 20 04 20 モルダーあなた疲れてるのよ…性的な意味で -- 2011-10-18 23 11 26 気持ち悪いわッ!! つうか不死身かよこのれいむwwww -- 2011-08-16 17 07 50 吐きそう・・・ -- 2011-02-14 00 39 07 …これは…実現すれば売れるぞ!! -- 2010-12-14 05 11 55 いやちょっとキモくて駄目だわ -- 2010-11-26 07 12 44 良いアイディアだ。感動的だな…性的な意味で -- 2010-10-13 17 56 42 これはひどい。性的な意味で。 -- 2010-09-16 18 52 38 続きが欲しいわ。 性的な意味で。 -- 2010-09-16 11 36 58 おもしrかったわ。性的な意味で。 -- 2010-08-15 22 13 29 こういうの好きだわ。性的な意味で。 -- 2010-08-12 02 22 48
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れいむ文明 7KB 制裁 観察 自業自得 自滅 同族殺し 共食い ツガイ 群れ 自然界 人間なし 独自設定 うんしー 文章が小学生レベルです 黒あき(仮)です 他に名前被ってなきゃ幸いです ぬえで人間黒投下して削除に至りましたので、罪滅ぼしに虐げられる事が多いのでれいむ無双です 管理人さんもうしません ごめんなさい はじめに 下記内容が不快に思われる方はお控え下さい ※うんしーエクソダスゴールド(豊田監督Ver)が多少あります ※前半は平仮名ばかりなので、目や前頭葉が痛くなる人(自分です)は避けたほうが無難です 3D酔いに似た症状で癲癇になる人も居るそうです 画面の輝度を下げるか字体サイズを大きくすると多少緩和されるそうです ※人間の存在がない世界感です ※当然ですが駄文です ごめんなさい ※毎度毎度の事ですが、風呂敷を広げすぎて収束できてません ごめんなさい ※謝れば許されると思ってるのか?と思われた方、ごめんなさい ※言葉遣いが悪いのは芸風だと思って頂ければ幸いです ごめんなさい 「れいむ文明」 ケース1 「むきゅ、くぬぎさんのしたにすんでたまりさが さいきんみあたらないのだけど」 「ありすがしってるわ。つがいのれいむがにんっしんしてから、ばしゃうまのようにはたらかされて、そのうえ ごはんをあたえられずに、えいえんにゆっくりしちゃったのよ」 「ゆゆっ、れいむはわるくないよ!まんぞくにかりもできないまりさがわるいんだから、じごうじとくだよ!!」 「むきゅ、れいむ、あなたたしか れいむとまりさをさんびきづつしゅっさんっ したわよね?」 「ゆゆっ、れいむのおちびちゃんは れいむによくにたこだけだよ!」 「・・・れいむ、あなたまさか・・・」 「へんないいがかりはよしてね!ごみくずくそむしこえだめありすのくせになまいきだよ! れいむはしんぐるまざーなんだよ!かわいそうなんだよ!しょたいももてないれいぱーはゆっくりしんでね!!」 (むきゅ、ゆーざいね) ケース2 「むきゅ、いわのしたのちぇんのおうちに、いつのまにかやどなしれいむがすんでいるわ」 「まりささまがしってるのぜ。あめさんのひに、れいむがむりやり あまやどりにちぇんのいえにはいったんだぜ」 「ゆゆっ、そうだよ!そこでれいむは ちぇんにむりやりすっきりーさせられて、てごめにされたんだよ」 「そのわりには みおものちぇんが なきながらかりにいくのを、むれのみんながみてるのぜ」 「ゆゆっ、いやがるれいむをてごめにしたんだから、とうっぜんだよっ!れいむはかわいそうなんだよ!」 「「ゆゆゆ????れいむがてごめにされて ちぇんがにんっしん??」」 「・・・むきゅ、それでちぇんはどこにいったのかしら?」 「まんげつさんのよるのひに、ちぇんと ちぇんのおちびちゃんのひめいをきいたのぜ。 れいむとれいむのちびのわらいごえもきこえたのぜ。それからちぇんと ちぇんのおちびちゃんはすがたをけしたのぜ」 「むきゅ、まんげつさんはさくばんね」 「ゆゆっ!ふらんとれみりゃがたくっさんきたんだよ!れいむはひっしにたたかったよ!でもたぜいにぶぜいだったんだよ!!!」 「むきゅ、もういいわ。(ゆーざいね)」 ケース3 「むきゅ、よこあなのまりさ、せいかつはうまくいってるかしら?」 「ぱちゅりー、しんぱいしなくてもだいじょうぶだよ!まりさがかりをして、いとしいれいむが とてもゆっくりしたこそだてをしてくれるから、 もう2かいもふゆさんをこせたんだよ!」 「ゆゆーん、まりさったら。。。(ポッ」 「ビキッ)・・それはそうと、まりさににたこは こんかいもだめだったのかしら?」 「ゆゆぅ、そうなんだよ、まりさににたこは これまでいっかいもうまれてないんだよ」 「ゆぅ、まりさ、つぎがんばればいいわ!れいむはいつまでたってもまりさのつまですからね(ポッ」 「ピキピキ)・・ぱちゅは いだいなもりのけんじゃだから かずがかぞえられるのだけど、はるさんからこれまで、あなたたちは よんじゅうはちかいも れいむしゅばかりうんでるわね」 「「ゆゆ、たくさんのかずはかぞえられないよ!!」」 「そうね、まりさがきのみさんだけをかりであつめたとして、みっかであつめられる すべてのりょうとおなじくらいね」 「ゆゆっ!そんなに!?」 (むきゅ、もうしわけないのだけど、ゆーざいね) その夜、いや、数日前から長ぱちゅりーは悩んでいた。2年前に隣の群れから若ゆっくりだけでこの肥沃な土地に移り住んできたのだが、 当初各種1~2匹づつだった集団が、いつのまにか れいむ種ばかり目に付くようになってきたからだ。 確かにでいぶも存在したし、無意識のうちにれいむ種ばかり優遇する母親もいた。しかしそれらは本来れいむ種だけの問題ではないはずだ。 狩りがゆっくり界でもドベ2とダブルスコアくらい離れてレベルの低いれいむに、母親役を任せるのは仕方の無い事なので、 そういった問題がれいむ種ばかり目に付くと長ぱちゅりーは考えていた。 しかし、春からの追跡調査の結果、ゲスやでいぶでないれいむ種との番には、8~9割がた れいむ種ばかりが生まれてくることが確認できた。 「むきゅ、これはもう・・・やるしかないわね」 長ぱちゅりーは、ある決断をした。しかし、考えに耽っていた長ぱちゅりーは、巣穴の入り口に迫る影に気付くことはなかった。 翌朝、広場にあるおおきな石の前には、無残にも幾らかの断片となった長ぱちゅりーの死骸が散らばっていた。ご丁寧に中身は全て消えている。 「だ、だれがこんなひどいことをしたんだぜぇぇぇぇ!!」 「こんなのとかいはじゃないわ!!」 「わからないよーー!」 慌てふためくまりさ、ありす、ちぇん達と比べ、れいむ種は須らく自らの群れのリーダーの死骸を無表情で見下していた。 「ゆ!れいむは しってるよ!さいきんのおさはゆっくりしてなかったよ!これはえんっこんのせんがこいよ!!」 「ゆ!れいむが しってるよ!きのうれいむのびまりさに ちょっかいをかけにきたんだよ!まりさに にたこがうまれないのを れいむのせいにしてたんだよ!!」 「ゆ!れいむのところにもきたよ!ちぇんがむりやりすっきりーしたのに、れいむをうたがいの めでみてたよ!」 「ゆ!れいむもだよ!むのうなまりさが えいえんにゆっくりしたのを、れいむのせいだといわんばかりに ひなんされたよ!」 れいむ達は、ほとんど自ら白状している事にはまったく気付かず、それがれいむ種の潔白を示していると思い込んでいる。 しかし、他のゆっくり達には、長を殺した犯人達を特定させるに充分たる発言だった。 「れ、れいむ、そういえば きのうのばんおそとに・・」 「そういえば うちのれいむもでていったんだねー」 「むきゅ、さくばんれいむがしゅうだんで おさのおうちにはいっていくところを みたのだわ」 れいむ種以外のゆっくり達で広場はざわめき、れいむ達を疑いの目で見始めた。一方、先ほどの平静さを失ったれいむ種達は、額に青筋を立てて唸る。 「「「「「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ」」」」」 「れいむぅ、まりさのれいむは けっぱくっだよね??」 横穴のまりさがこの状況下で尚、己の番を信じたくて、ただ一言やってないと聞きたくて問いかける。 しかし、愛する番から放たれた次の言葉は、まりさの期待していた言葉ではなった。 「そうだよっ!れいむがれいむたちとおさをグズグズになるまでひきずりまわしたよ!くそまずいおさだったよ!ケケケケケケケケケケ!!!!」 「ゆゆ!れいむぅなんでえ??」 驚嘆するまりさと、同属殺しにさらにざわついた広場で、どこかのれいむが叫んだ。 「けっていっだよっ!!れいむたちいがいはぜんぜんゆっくりしてないよっ!せいっさいだよ!!」 「「「ゆゆゆゆ!?」」」 1時間後、肥沃な土地の群れはれいむ種だけとなった。 広場では他のゆっくりの死骸をれいむが貪り、腹に収まりきらなくなれば糞をひり出しながら、涙と涎と食べかすにまみれた顔面全体で咀嚼を続けた。 あるれいむはひり出した糞の長さを競い、あまりの長さに糞と気付かぬれいむが糞に食らいつき、その甘さ加減に歓喜の失禁をする。 さらにその尿で出来た泥水に赤れいむが群がり、顔を突っ込む。 れいむが踊り、れいむが歌い、れいむがれいむと酒池肉林、狂楽快感の限りを尽くし、そして翌朝には150匹の赤れいむが産まれた。 どこぞのれいむが言った「これはれいむ ぶんっめいのよあけだよ!!」 しかし、1週間後には実に1000匹のれいむが構成していたれいむ文明は、当然の事ながらキャパシティオーバーとなり、 肥沃な土地を荒れ野原に変え、隣の群れと土地を襲い、そこも枯れ果てるとさらに隣の群れへ、土地へと進出していった。 そして爆発的に増殖していったれいむは、しかし3ヵ月後には地上から跡形もなく消え去っていた。 地球上の餌となり得る動植物を全て食い尽くし、壮絶な共食いの果てに。 飲み込んだ植物の種すらも餡子に変えられてしまった為、世に存在した大半の植物と昆虫は絶滅し、食物連鎖の崩壊に 肉食獣も草食動物もこの世から姿を消し去った。 大地は高山を除き悉く餡子で汚染され、雨によって海に流された餡子によって地球規模の赤潮が大発生した為、海に住む生物も殆どが絶滅した。 再び元の生態系に戻るには、また海から陸へ上がる生物の出現まで待たねばならないだろう。 骨格を持たないゆっくりは、通常下では化石になることすらなく、永遠に歴史から消え去ってしまったのだ。 何も無くなった大地に、ただ風だけが吹いていた。 ※もしかしたら原油はれいむ達が時間を掛けて沈殿して・・・いや、なんでもない。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 滅べやんな文明と思ったら 文明じゃないなこれwwwwそのまま絶滅すりゃよいのに -- 2014-08-01 20 53 13 つまらんつまらん言うだけの人ってなんなの -- 2012-10-03 15 24 15 つまんねーなコレは -- 2012-03-11 00 33 51 恐竜の絶滅はれいむ種が原因だったんだよ! -- 2011-09-01 15 39 04 前置きが長くてそれだけで読む気を削ぐな -- 2011-08-31 20 45 40 後半は余分だな -- 2011-08-16 00 37 38 ↓書いた者だがごめん良く読んでなかった 3か月じゃそいつらも共食い参加してるよね…… -- 2011-06-07 00 49 44 最初のクズどもは好き勝手幸せに生きたと思うと…… -- 2011-06-07 00 46 59 文明の名をつけるのもおこがましいな -- 2010-11-03 21 05 00 遺跡のひとつも残さず滅びた文明というのは他にないな -- 2010-08-22 07 37 38 文明?これが? -- 2010-07-15 23 00 33 でいぶは滅ぼすべき -- 2010-06-23 00 03 54
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『幸福れいむ』 29KB いじめ 共食い 虐待人間 ぬるいです。れいむに幸せを与える話。 こちらに投稿するのは初めてとなります。 ぬるい虐待ですが、よろしければごゆるりと。 ある休日の晴れた昼下がり。 私は暇を持て余した末、今日という貴重な一日を、ゆっくりを虐待することで潰そうと決めた。 『幸福れいむ』 れいむはとてもゆっくりとした夢を見ていた。 広大な草原が広がる野原で、愛しのまりさと子供を作り、その子供たちが巣立つのを見送る、とても幸せな夢だ。 それがふと、一瞬で暗転した。 「……ゆっ?」 目の前に何か奇妙な人間がいた。四角い紙の袋を頭に被り、目にあたる場所に穴が開いている、そんな姿の男だ。 「ゆゆっ!?」 「デデデデストローイ ナーイン ボー」 そしてその紙袋から、くぐもった声で何かをれいむに呼びかける。れいむには言葉の意味はわからなかった。 「に、にんげん……さん……?」 ゆっくりよりも頭の大きさは小さい人間(ゆっくりには頭しか無いが)だが、この目の前の人間は、紙袋のせいで頭の大きさがよくわからない。 基本的に頭の大きさで優劣を決めるゆっくりは、頭の大きさ=身体の大きさと考えており、身体が大きい方が強いものだと考えている。だからゆっくりは人間を格下に見るのだが、紙袋の大きさはれいむの体長よりも大きい。 「やあれいむ、おはよう。ご機嫌いかがかな? ゆっくりしていってね」 男の手には注射針が見える。れいむにはそれが注射針であるという概念はわからないが、その尖った先端だけで、これはゆっくりできないものだ、と思った。 「ゆ、ゆっくりしていってね! おじさん、ここはどこなの?」 「おじさんじゃあない、私はただの鬼威山だ」 『おにいさん』と名乗る男だが、れいむにはそのイントネーションに不吉なものを感じる。 ──このにんげんさんは、ゆっくりしてない。 そう思いながら、この人間から離れようとするれいむだが、そこで自身の異変に気付いた。 「ゆっ……? ゆゆっ……!? あ、あんよさん……?」 ゆっくりは底面を動かすことで移動する。跳ねるにしても、這いずるにしても、底面を動かせなければ、どこにも移動できない。 そのことに気付いて、何度か動かそうとして、結局動かず、ようやくれいむは思い知った。 「どぼじであんよさんうごかないのおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」 「どうして、か。疑問を持つことは素晴らしいことだ。知恵がある生物ならではの行動だからな。獣は疑問を持つことで危機を脱するのだから」 紙袋の男は一人で何事かを呟くが、あんよを微塵も動かせず泣き喚くれいむには聞こえていない。 「まぁ、疑問には答えてやることにしよう。今日の私のルールだ。『疑問には正直に答えること』、ってね」 ぎもんにこたえる、という言葉にれいむははっとして、 「ど、どういうこと!? にんげんさん、ゆっくりしないでこたえてね!」 うむ、と人間は頷き、もったいぶった仕草をしながら、 「──君のあんよにラムネを注射しただけさ。局所麻酔ってやつでね。最近知ったんだが、ゆっくりにとってラムネは麻酔になるらしいね」 「ゆっ……? どうゆうこと……?」 「まぁようするに、私が君のあんよを動けなくした。この注射で、だ」 男が針をれいむに近づけると、れいむは慌てて叫んだ。 「ゆっ! ゆっくりしてないよ! はりさんこないでね! ゆっくりしてね!」 針から逃れようと必死で底面を動かそうとするれいむだが、底面はまるでれいむから切り離されているかのように反応しない。 「はは、冗談だよ。この注射は君にはもう使わないさ。約束しよう」 そう笑いながら注射針を透明な箱の中に仕舞うと、今度は別の茶色い箱の中から、いくつかの飴玉を取り出した。 「ゆっ! それ、あまあま?」 「ああそうだ。舐めてみるといい」 男はれいむの目の前に飴玉を一つ置く。れいむはそれを下で拾い、口の中に放り込んだ。 途端に、口の中に甘酸っぱい味が広がった。 「し、しあわせぇぇぇ~!」 こんな甘いものを食べるのは初めてだった。味覚が全餡子を貫き、天にも昇るような感覚すらおぼえる。強張っていた表情も崩れ、満面のゆっくり顔だ。 「幾つか置いていこう。今舐めてる飴玉が無くなったら食べるといい」 男はさらに飴玉を幾つかれいむの目の前に転がす。どれもれいむが舌を伸ばせば簡単に届くような距離だ。 ああ、とれいむは至高の感動とゆっくりに打ち震える中枢餡で思う。 このにんげんさんはれいむにこんなにゆっくりしてるあまあまさんをくれた。 れいむがなにもいってないのにあまあまさんをくれるこのにんげんさんはゆっくりしてるにんげんさんだ。 そして、れいむがなにもいってないのにあまあまさんをくれるのは、きっとれいむがさいこうにゆっくりしてるからだ! そんなことを思いながら飴玉をなめていると、男が茶色い箱の中から、大きな砂時計を取り出した。 「よく見ておくんだ。この砂は三十分で全て下に落ちる。その頃にはれいむのあんよも動かせるようになっているよ」 「ゆっ! わかったよ! れいむ、ゆっくりするよ! それとれいむ、のどがかわいたよ! おみずさんちょうだいね!」 「ああ、水は用意できない、すまないね」 「ゆぅ……ゆっくりしてないにんげんさんだね」 はは、と男は笑いながら、注射針を入れた透明な箱と、茶色い箱を持って立ち上がる。砂時計は壁際に移動させて、そこは底面を動かせないれいむの位置からでもよく見えた。 「ああ、そうそう。『私は今から、こちらかられいむに一切危害を与えない』よ。あんよが動かせるようになったら好きにしていい。そこからは見えないだろうけど、君の後ろにはたくさんの甘いものがあるからね」 「ゆゆっ! ほんとうっ!?」 「ああ、本当だ。あ、これ片づけたらもう一度来るよ。飲み物を持ってこよう」 箱をれいむに示して、男は部屋から出ていく。 突然のことが多すぎてゆっくり出来なかったれいむの心も多少落ち着き、二個目の飴玉を舌で拾いながら、れいむは自分がいるであろう部屋を見渡した。 部屋は六畳程度で、れいむからすれば、れいむのおうちよりすっごくひろいね、という広さだ。 れいむはこの部屋のほぼ中央にいる。底面が動かせないので部屋の後ろを見ることは出来ない。……あまあまのおかげでゆっくりしているので、あまり気にしなかったが。 れいむの真正面には扉があり、男はそこから出入りしていた。扉の傍に砂時計が置かれており、あの砂が全て下に落ちた時、れいむのあんよは動くようになるという。 それにしても広い部屋だ。ふと、れいむは考えた。 こんなにひろければゆっくりできる。 ごはんもあまあまもきっとあのにんげんさんがよういしてくれる。 ここはきっとゆっくりぷれいすだ! 「ゆゆっ! きめたよ! ここをれいむのおうちにするよ!」 そして息を吸い込んで、 「ここはれいむのおうちだよ! ゆっくりしていってね!」 おうち宣言。ゆっくり特有の行動で、自分の巣を定める行為だ。 たとえそこが別のゆっくりの巣だろうと、人間の家だろうと、自らが巣だと決めた場所なのだから誰も文句は言えない、ゆっくりはそう思っているのだ。 このあんよが動かせるようになったら、真っ先に愛しのまりさをここに連れて来よう。れいむはこんな広いおうちでまりさと暮らす未来を夢見ながら、すごくゆっくりしていた。 れいむがゆっくりとしながら飴玉を舐めていると、紙袋を被った男が入ってきた。 「ゆっ! おにいさん! ここはれいむのおうちだよ!」 「ん? ああ、おうち宣言か。ならお邪魔するよ」 「おにいさん! かってにはいったらだめなんだよ! かってにはいったらてみやげをもってきてね!」 「手土産って……まぁいいか。ほら、オレンジジュースだ。水の代わりに持ってきたよ」 「ゆっ! ゆっくりちょうだいね!」 そういいながら、れいむの前に皿を置き、そこにオレンジジュースを注いでいく。 その際、男は床に転がしておいた飴玉を回収するが、れいむは気付かない。 「ぺーろぺーろ……しあわせ~」 甘酸っぱいオレンジジュースは、ゆっくりにとっては至高の飲み物だ。元々オレンジジュースはゆっくりにとっては治療薬になる。怪我をしたゆっくりや体力の無いゆっくりの応急手当によく使用されるのだ。 「そうだれいむ、飴玉よりもっと甘いものがあるんだが、いらないか?」 「ゆっ!? さっきよりももっとあまあまさん!? ほしいよ! ゆっくりしないでちょうだいね!」 「いいだろう、ちょっと待っていてくれ」 男はれいむの横を通って、れいむの背後に何か箱のようなものを置いた。何なのかはれいむからは見えない。 そしてれいむの横に細いチューブのようなものを伸ばし、それをれいむの口にくわえさせる。 「吸ってみるといい」 言われたとおりに吸い込んでみると、チューブの先から何か物凄く甘いものが飛び出してきた。 「!!!」 特上の甘味が舌を焼き尽くし、全餡子を震わせる。先ほどまで堪能していた飴玉の味すら一瞬でどこかに行ってしまう衝撃に、 「し、し、し、し、しあわせえええぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」 れいむは至上の幸福を、その舌で味わった。 「う、うっめ! めっちゃうっめ!」 思わずチューブを思いっきり吸い込み、さらなる甘味を味わう。全身に雷が走るような快楽に、れいむはこれ以上なくゆっくりとした気分になれた。 何よりも素晴らしいのは、吸うたびに至高の甘味が、その甘さをさらに強くしていくことだ。今まで味わってきた甘味ランキングが現在進行形で更新されていく。 「しあわせぇ~……けぷっ」 腹一杯になるまで甘味を堪能したれいむに、男は満足げに頷いた。 「どうだいれいむ、甘かっただろう?」 「さいこーにしあわせだよぉ~……とてもゆっくりしたあまあまだねっ!」 「それはよかった。もしよかったら、そのあまあまがなんなのか見せてあげようか?」 「ゆっ! みせてみせて!」 男は頷くと、れいむの後ろに置いていた箱を、少しずつれいむの横へずらしていく。 どんなあまあまさんなんだろ? 無邪気に考えるれいむは、少しずつ見えてくる箱を横目で見て、 凍った。 「…………ゆ?」 それは、その透明な箱の中にいるのは、 「……あ、あ……?」 バレーボールくらいの大きさの痩せ細った饅頭のような物体に、だらしなく開いた口がついていて、その饅頭の上からは金色の髪に似たものが波を描き、横で三つ編みを作っている。口と髪の中間には目が二つ並んでついていて、その視線は、れいむを化物を蔑むように、涙を流しながら見つめている。 金色の髪の上には、れいむが好きな、今度告白しようと思っていた、近所のまりさとまったく同じ黒い三角帽子が乗っていた。 その頬にはチューブが刺さっていて、そのチューブが伸びた先は、れいむの口元のチューブに繋がっていて、 「……どぼじでええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!?」 それは、れいむが好きだったまりさだった。 「ではご対面だ」 男がチューブを外し、透明な箱からまりさを出して、れいむの真正面に置いた。 「ばりざっ! ばりざぁぁぁぁ! ごべんねっ! ごべんねえええぇぇぇぇぇ! ばりざだっでじらながっだのおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 涙を流して、ろれつの回らない舌でひたすら謝るれいむに、まりさはぼそりと、振り絞るように呟く。 「……まりさの、なかみを、すいとる、れいむは、ゆっくり、しないで、しね」 「あ……!」 愛しいまりさからの憎悪の言葉に、何も言葉が出せなくなる。まりさの眼は殺意に満ちていて、痩せ細っていなければ今すぐにでもれいむを殺そうとするだろう。 口をパクパクと開いたり閉じたりするれいむに、男が語りかける。 「先ほどのどうして、という疑問に答えよう。『どうしてまりさがここにいるのか?』簡単だ、私がそこに入れた。お菓子をあげると言ったら簡単に入ってくれたよ。『どうしてこんなことをするのか?』これも簡単だ、私の趣味だ。私は単に痛めつけるより、こう、いたぶる? みたいなのが好きでね」 言葉が出ない。この男への怒りよりも、愛しのまりさの中身を吸っていたという事実が、れいむの声を奪っていた。 現実逃避をしたくても、まりさの憎悪の言葉が、れいむの淡い妄想を破り捨てる。 「しね……っ、れいむは……、ゆっくり、しないで、しねっ……!」 「あ……ああ……!」 狂ってしまいそうなれいむに、男が声をかけた。手には注射器を持っている。やたら針が太く、注射器の中は透明な液体で満たされていた。 「提案がある。この注射器の中には、まりさをあっという間に元気にさせて、しかもれいむを死ぬまで愛するようになるものが入っている」 「ゆ……!? ほ、ほんとう……?」 「ああ、私は嘘はつかない。さて、どうする? これをまりさに注入しようか?」 「ゆ……」 この男は、れいむに嘘は吐かなかった。きっと本当のことなのだろう。ちらり、とまりさを見ると、 「ゆっくりごろし……! しね……!」 今にも永遠にゆっくりしてしまいそうな痩せ細った体で、れいむに憎悪と殺意を飛ばしていた。 まりさは、全然ゆっくりしていない。 「このまま、まりさをゆっくりさせないまま、死なせたいか?」 そんな男の言葉に、れいむは反射的に叫んだ。そもそもこの男が原因だということも忘れて、叫んだ。 「おねがいじまずううぅぅぅぅぅぅぅ! ばりざをっ! ばりざをゆっぐりざぜでええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 ぶすりと、注射針がまりさの後頭部に刺さった。 「ゆびっっ!?」 じゅうと、注射器の中身がまりさの中へ入っていく。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 「ばりざぁぁ……」 目の前で痙攣するまりさを心配そうに見つめるれいむ。 男が注射針を抜くと、まりさの動きが不意に変化した。 「ゆぅぅぅぅ……ゆひぃぃぃぃぃ……」 呼吸が細く、掠れた笛のような声がもれる。目の焦点は定まらず、口からは砂糖水が垂れていた。 「ま、まりさ……?」 れいむが恐る恐るまりさの顔を窺おうとすると、突然まりさの目が見開かれた。 「ゆっぴぃぃぃぃぃぃぃぃっ!! ……ゆ?」 不意に、まりさの表情が元に戻っていた。ゆっくり特有のおとぼけ顔は相変わらず痩せていたが、れいむを不思議そうに眺めており、先ほどの憎悪や殺意はどこかへ行ってしまったかのようだ。 「ま、まりさ……?」 「れいむ、ゆっくりしていってね!」 満面の笑顔で挨拶するまりさに、れいむは知らずうちに涙を流していた。 「まりざぁっ! よがっだぁっ! ゆっくりしていってねぇっ!」 「れいむはなきむしだねっ! ゆっくりしていってね!」 泣きじゃくるれいむをあやすように頬を重ね合わせるまりさ。 「すーりすーり」 「ゆゆっ、まりさぁ……すーりすーり」 「「しあわせ~」」 あっという間に泣き止み、頬をすり合わせるれいむとまりさを、男は満足そうに頷きながら眺めていた。 「すーりすーり」 「すーりすーり」 「す、すーりすーり」 「すーりすーり」 「ま、まりさ……?」 「すーりすーり」 何故かまりさは、いつまでたっても頬ずりを止めない。そのことにれいむは、ふとまりさの顔を窺う。 満面の笑みのままのまりさの表情は、何か、奇妙な既視感があった。 「ま、まりさ、これいじょうはだめだよ、あかちゃんできちゃうよ……」 「すーりすーり」 「にんげんさんがみてるんだよ? れいむ、はずかしいよ……」 「すーりすーり」 「……まり、さ?」 れいむは、その既視感を、思い出しかけていた。 何か恐ろしいもののような、思い出したくもない顔。満面の笑顔のはずなのに、頬ずりでゆっくり出来てるはずなのに、れいむの芯の底が冷えていく。 そして不意に、まりさの動きが変わった。 「すりすりすりすりすりすりすりすり」 「ま、まりさ!?」 明らかに、コミュニケーションとしての頬ずりとは違う。感情を押し付けるようなそれは、れいむのトラウマの一つ、 「……ありす!?」 いつの間にか、満面の笑顔だったはずのまりさの顔は崩れ、口元はだらしなく歪んで砂糖水を垂れ流し、眼球はむき出しでれいむを見下ろす。 れいむはかつて、れいぱーと化したありすが、他のれいむを襲っている光景を見たことがある。その時は運よく逃れられたが、今のまりさの表情は、あの時甘い笑顔で他のれいむを誘い出し、おぞましい表情で襲っていたあのれいぱーありすそのものにしか見えなかった。 「どぼじでええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!? やべでぇぇぇぇぇぇ! ばりざ、やべでえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「すりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすり、んほおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! すっきりいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」 「ずっぎりい゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃぃぃぃ!!」 それまでゆっくりしていたれいむの餡子は、まりさの豹変で一瞬にして絶頂まで上げられた。 次の瞬間、れいむの頭から茎が生える。枝分かれした茎の先には合計六つの小さな球体が付く。れいむとまりさの子供だ。 何が起こったのか理解できないれいむに、男が優しく語りかける。 「疑問に答えよう。先ほどまりさに注入したのは、いわゆる精力剤というやつだ。時間差はあるがゆっくりを発情させ、感情を整え、目の前にいるゆっくりと交尾をしたくなる。まぁようするに、即席れいぱー作成薬というわけだ。……ただ、副作用があってね」 呆然と男を見るれいむに、男はまりさの方を示した。 「すっきりーをすると、ゆっくりしてしまうんだ。永遠にね」 「……え?」 まりさを見る。先ほどまでのおぞましい表情は消え、そこには眠るように穏やかな表情のまりさしかいなかった。 永遠に眠るような。 「ご覧のとおり、まりさはれいむを愛したまま、ゆっくりと死んだ。よかったね」 「あ……ああ……?」 れいむはもはや何も考えられない。ただぐるぐると、今までのことが巡っていた。 さいしょは、あんよさんがうごかなかった。 でも、にんげんさんはあまあまさんをくれた。 でも、あまあまさんはまりさだった。 まりさはれいむのことをゆっくりしないでしねっていった。 でも、まりさはにんげんさんのおかげでれいむのことをあいしてくれるようになった。 でも、まりさはれいぱーありすとおなじになってた。 れいむにあかちゃんができた。 でも、おとうさんになるはずのまりさはえいえんにゆっくりした。 どうして? どうして? どうして? いくら考えても、足りない餡子では答えが浮かばない。 「れいむ。君はゆっくりしなくていいのか? 君とまりさの子供が実っているだろう?」 男に言われ、れいむははっとした。 そうだ。れいむにはおちびちゃんがいるんだ。 そうだ。これかられいむが、まりさのぶんまでゆっくりすればいいんだ。 そうだ。これかられいむが、まりさのぶんまでおちびちゃんをゆっくりさせればいいんだ! 「ゆっ! ゆっぐりじでいっでね! ばりざぁっ! ばりざのぶんまでっ! ゆっくりするがらねぇっ!」 嗚咽混じりでそう誓い、茎に実った子供たちを見上げると、れいむはおかしなことに気付いた。 実った赤ゆっくりの成長が、やたら早い。 「……ゆ?」 不思議に思ったが、れいむはこう結論付けた。 「せっかちなおちびちゃんだね! すぐにうまれて、いっしょにゆっくりしようね!」 素晴らしきかな餡子脳。実は男がまりさに注入した精力剤には、成長促進剤も入っていたのだが。 早送りのように少しずつ大きくなっていく赤ゆっくりを見上げながら感動の涙を流すれいむの横で、男はまりさを茶色い箱の中に仕舞っていた。 あっという間に大きくなる実に、れいむの餡子が吸い取られるが、先ほどれいむはまりさの餡子を吸っていたので問題は無いようだ。 砂時計の砂が半分ほど落ちた頃、すっかり赤ゆっくりは大きくなり、もう生まれてもおかしくなくなっていた。六つの赤ゆっくりは、全てれいむ種だった。 本当はこんな速さで成長するわけがないのだが、しあわせに浸るれいむはそのことに気付いていない。 やがて、実たちがプルプルと震え始める。 「ゆゆっ! もうすぐうまれるよぉっ!」 「よかったな、れいむ。きっとまりさも祝福してくれているだろう」 れいむは嬉しさのあまり、元凶が目の前の男だということをすっかり忘れていた。 震えた赤い実が、やがて一つ、また一つと茎から離れ、落ちていく。 床に落ちた衝撃でうっすらと目を開く赤ゆっくりは、この世に生を受けた証を叫んだ。 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 六匹が同時に声を上げ、れいむは感激の涙を流しながら、その証に答えを返した。 「ゆっくりしていってね!! おちびちゃん、れいむがおかあさんだよっ!」 「おかーしゃん?」 「おかーしゃん、ゆっくちしちぇいっちぇね!」 「みゃみゃー」 「おにゃかしゅいたよぅ」 「ゆっくち! ゆっくち!」 「ゅ? おかあしゃんー」 「ゆゆ~ん、すっごくゆっくりしたおちびちゃんだよぉ!」 思い思いに母親に応える赤れいむたちに、れいむはこれ以上ないほどゆっくりしていた。まりさの中身を吸った時にもゆっくりしていたが、もはやそのことは嫌な記憶になっているらしい、すっかり忘れていた。 全て生まれたことを察したのか、れいむの頭から生えた茎は根元から自然に折れ、赤れいむたちの上にぽとりと落ちた。茎はとても軽く、赤れいむの上に落ちても心地よいくらいにしか感じない。 この茎は赤ゆっくりにとって生後初めての食事となる大事な食事だ。ほんのりと甘苦いこの茎は赤ゆっくりの味覚を刺激し、今後食べる食事全ての基準になるのだ。 つまりこの茎よりまずいものはゆっくりできず、この茎よりうまいものはゆっくりできる、そういう思考を作り出すのだ。 「おちびちゃん、おなかがすいたでしょ? そのくきさんはゆっくりできるよ! ゆっくりむーしゃむーしゃしてね!」 「くきしゃん? ゆっくちできりゅ?」 「れいみゅおにゃかしゅいたよ! むーちゃむーちゃ……ゆびえぇぇぇぇん! くきしゃんかちゃくてむーちゃむーちゃできにゃいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 「ゆっ! れいむうっかりしてたよ! ゆっくりまっててね!」 泣き虫らしい赤れいむの言葉にはっとして、舌を伸ばして茎を口に含む。茎は固いので、こうやって噛むことで柔らかくするのだ。 すっかりふにゃふにゃした茎を吐き出すと、待ちくたびれていたのか一斉に赤れいむが群がった。 「むーちゃむーちゃ! ちあわちぇー!」 「むーちゃむーちゃ! ちあわちぇー!」 どのゆっくりも口々に幸福表現を口にする。れいむは子供たちが喜ぶ姿を見ているだけでゆっくりできていた。 ああ、そうだったんだね。これがほんとうのゆっくりだったんだね。 「おかーしゃん、しゅーりしゅーりしちぇね!」 「ゆふふ。みんな、れいむとすーりすーりしてゆっくりしようね!」 食事も終わり、早速子供とスキンシップをとるれいむ。本当に、本当にその顔はとてもゆっくりしている。 だがれいむは忘れている。この男の存在を。 「モォーリカードゥールサァーン」 「ゆっ!?」 男が歌うように呟くと、ゆっくりたちは一斉に男の方へ向く。 「おめでとうれいむ、ゆっくりとした赤ゆっくりたちだね」 「ゆふん、もっとほめていいよ!」 「にんげんしゃん?」 「ゆっきゅりできりゅ?」 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 うむ、と頷くと、男は砂時計を示した。 「この砂はあと五分程度で全て落ちる。そうしたら君たちにとても甘いものをやろう」 「ゆゆっ! ほんとう!?」 「あみゃあみゃ!?」 「ゆっくちできりゅの?」 「おかーしゃん、れいみゅあみゃあみゃたべちゃい!」 ざわめき立つゆっくりたちに、男はただし、と付け加えた。 「彼女たちから逃げ切ったら、の話だがね」 「ゆ?」 ぎぃぃ、と、何かが開く音がした。次いで、何かが羽ばたく音がする。 底面を動かせないれいむには、背後から聞こえるその音の主を見ることは叶わない。 だが、れいむの眼前にいる赤れいむたちの表情が、言葉が、その答えを示していた。 「れ、れみりゃだああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「うー☆」 叫ぶ赤れいむたちの声に混じって、正真正銘のれみりゃの鳴き声が、確かにれいむに聞こえた。 「ど、どおしてれみりゃがいるのぉ!? ここはれいむとおちびちゃんのおうちだよ!?」 「うー☆」「たーべちゃうぞー!」 さらにれいむは戦慄した。れみりゃは一体だけじゃない。 赤れいむたちが一斉に逃げ出し、ある赤れいむは男の足元に隠れ、ある赤れいむはパニックで半狂乱になりながら親であるれいむにすーりすーりし続けた。 「おきゃーしゃぁぁぁん! きょわいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 れいむは、はっとして口を大きく開けた。 「お、おちびちゃん! おかーさんのおくちにかくれてね!」 なんとか三匹ほどの赤れいむを口の中へ避難させることは出来たが、他の三匹はれいむからは遠い位置にまでいってしまっていた。 呼び戻そうとするれいむの横を、れみりゃの影が二つ、ふらふらと飛びながら赤れいむの方へ向かう。まだ小さい、子れみりゃだ。 「うー!」「あまあまー」 「れ、れみりゃだぁぁぁぁぁ! きょわいぃぃぃぃぃぃぃ!」 ぽよんぽよんと男の足元で跳ねていた赤れいむに真っ先にとびかかるれみりゃ。 「やめてええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! おちびちゃんにてをださないでえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 口の中に不安げな表情の赤れいむを入れたまま叫ぶが、れみりゃはお構いなしに赤れいむに牙を立てた。 「いぢゃい! やめちぇね! れいみゅおいちくにゃいよ! ……やめちぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 「うー♪」「うー♪」 「おちびちゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」 あんよを動かせないまま、愛しの子供が中身を吸われていく様を見せつけられていく。その捕食者の恐怖に、まだ外にいる他の二匹も、れいむの口の中にいる赤れいむたちも、ただただ震えるばかりだ。 あっという間に中身を吸いつくし、断末魔の叫び声すらあげられずに皮だけしても、れみりゃはまだ物足りないらしく、次に砂時計の傍に隠れていた赤れいむを狙いに定めた。 「お、おちびちゃん! ゆっくりしないでおかーさんのおくちのなかにかくれてね!」 急いで叫ぶが、反応できたのは狙われていない方の赤れいむだけだ。砂時計の傍の赤れいむは、時すでに遅し、れみりゃの牙に噛まれてしまっていた。 「いぢゃいいいぃぃぃぃぃぃ! たしゅけちぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! おきゃぁしゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「おちびちゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁん!」 助けを請う赤れいむに、れいむは何も出来ない。なにせあんよが動かないから。 はっとして、れいむは男に叫んでいた。この男なら、きっとおちびちゃんを助けてくれるんじゃないか、そう根拠もなく思ったのだ。 「に、にんげんさん! おちびちゃんをたすけてね! ゆっくりしないでたすけてほしいよ!」 「構わないが……もう遅いと思うぞ?」 見ると、もう赤れいむは中身を吸われつくして、 「もっちょ……ゆっくち……しちゃかっちゃよ……」 そう言い残して、永遠にゆっくりしていた。 「おちびちゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「ゆああああぁぁぁぁぁぁぁぁん! おねえしゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁん!」 泣き叫ぶれいむに同調してか、口の中に合流できた残り一匹の赤れいむと他の赤れいむたちも一緒に泣き叫んだ。 「うー、おなかいっぱい」「うー、ねむい」 れみりゃたちは腹が満たされて眠くなったのか、その場で目を閉じてうつらうつらと眠りに入った。 「……ふむ、ちょうど砂も落ち切った、か」 男の言うとおり、砂時計の上の砂は全て下に落ち切っていた。 ふと、れいむは自分のあんよが動かせるようになっていることに気付いた。 その様子を見て、男が語りかける。 「れいむ、子供のことは残念だったな。ところでだが、れいむはこの部屋を自分のおうちにすると言ってたな?」 「ゆ……そうだよ……ここはれいむのおうちだよ……」 すっかり元気が無くなった声で答える。口の中に匿っていた赤れいむたちはれみりゃが眠っていることで外に出してある。 そんなれいむに、男が突き刺すような声で言った。 「……こんなれみりゃがいるおうちで、ゆっくりできるのかい?」 「……ゆっ!?」 「こんなれみりゃだらけのおうちに住むより、前の巣に戻った方がいいんじゃないかな」 「ゆぅ……」 暗い顔で考え込むれいむの顔を見上げる赤れいむたちは泣いたり、不安そうに見上げたり、子れみりゃたちを恐ろしげに見ていたりしている。 ここは広いおうちだが、れみりゃがいるのではゆっくりできないだろう。 昔のおうちに戻ろうか迷っていると、男が今度は優しげな口調で言った。 「後ろに大きな箱があるだろう?」 振り向くと、確かに大きなダンボールの箱が置いてある。その隣には「れみりゃのこーまかん」と書かれた赤い箱がある。 「あの茶色い箱に入れば、昔の巣に戻してあげよう。ああそうだ、約束の甘味はあの箱の中に入っている」 「ゆっ! あみゃあみゃ!?」 真っ先に赤れいむが反応した。 「れいみゅ、あみゃあみゃほちい!」 「にんげんしゃん、れいみゅにあみゃあみゃちょうらいね!」 「やきゅしょくどおりあみゃあみゃよきょせー!」 ぽよんぽよんと飛び跳ねる赤れいむたちに、そうだね、と頷いて、 「れいむ、むかしのおうちにもどるよ……にんげんさん、れいむたちをはこさんのなかにいれてね!」 「ああ、了承した」 男は頷くと、まずれいむを持ち上げて箱の中にいれる。見ると、箱の片隅にお菓子の山が出来ていた。 「ゆゆっ! おしょりゃをとんでるみちゃい!」 次々と赤れいむたちもダンボール箱の中に入れられていく。 「あみゃあみゃ! あみゃあみゃたくしゃんありゅよ!」 「むーちゃむーちゃ……ちっ、ちあわちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 早速つまみ食いを始める赤れいむたちに、男が声をかけた。 「早速食べるのはいいんだが、まずこれを食べるといい。ゆっくりできるよ」 そう言って、れいむたちの目の前にラムネ菓子を落としていく。 ゆっくりできると聞いて早速赤れいむたちがラムネ菓子にかじりつく。れいむの目の前にもラムネ菓子が差し出され、 「そうだね! みんなでゆっくりしようね! むーしゃむーしゃ、しあわせー……ゆぅ?」 不意にれいむは、まぶたが重くなっていることに気付いた。意識が遠くなり、ぼんやりと景色が閉じていく。 閉じかけた視界には、既に寝息をたてている赤れいむたちがいた。 「ゆぅ……みんな……ゆっくりおやすみなさい……」 ◆ …………。 ……………………。 れいむたちが眠ったことを確認して、ダンボールの蓋を閉じる。 睡眠薬代わりに食べさせたラムネ菓子は加工所特製の強力なやつで、ちょっとやそっとの衝撃でも目覚めることは無い上に、副作用がまったく無い優れものだ。 多少乱暴に扱っても、途中で目を覚まされてギャースカ騒がれることもない。 私はゆっくりを虐待する時、紙袋を被る。これは下手にゆっくりから顔を覚えられないようにするために始めたのだが、いつの間にか一種のトレードマークになってしまっていた。 なんにせよ、今回の私のゆっくり虐待は終わった。いや、正確には「やるべきこと」を全て終えて、これから楽しむのだ。 私の飼っている二体のれみりゃを巣、こーまかんにゆっくりと入れる。千差万別のゆっくりだが、この寝顔だけは共通して天使のようだ。 まぁ、その天使の寝顔を歪めるのもまた楽しいのだが。 紙袋を外し、ダンボールを持ち上げ、部屋のドアを開けた。 れいむの巣は近所の雑木林にあった。木の根元にぽっかりと空いた空間を利用しており、この近くには今回有効に使わせてもらったまりさの巣もある。 ダンボールを開け、ゆっくりとれいむたちを巣に押し込み、食料置き場に菓子をたくさん置いてやる。 これでもう私から何かすることは無いので、帰ることにしよう。 私のやることを手ぬるいと言う者は多い。 何せれいむを散々怖がらせただけで、実際にれいむに危害を加えたわけではないのだから。まぁ、精神的には危害を与えているともいえるが。 特に最終的にれいむを生かすことを批判されることが多い。同好の士の中でも私はやや異端側というわけだ。 だが、時には生きる方が辛いことがよくある。死すら救いになることが多いのだ。 救済の無い絶望の日々を生きるくらいならば、さっさと死んでしまう方が苦しまなくていい。安楽死の考え方だろう。 生きていればいつか良いことがあるならばいいが、それが可能なのは物や人に溢れた人間だから言えることであって、野生に生きる獣にそんな安易な延命は通じない。 足の骨が折れて走れなくなった草食動物を、生きていればいつか良いことがあると言えるだろうか。 牙が折れて武器を失った肉食動物を、生きていればいつか報われるとのたまうことが出来るだろうか。 ゆっくりも同じだ。 野生で生きるための力を失ったゆっくりは、もはやどうにもならない。「いつか必ず報われる日々」なんてものは決して訪れない。 れいむはまりさとつがいになることで野性を生き延びようとしていた。だから私はまりさをれいむに殺させた。れいむ種は母性で子供を育てる役目を持ち、狩りはそもそも役割ではない。 それにれいむの舌はもはや蹂躙されてしまっている。私が用意した最高級の甘味──まりさの餡子を知ってしまったのだ。もう昆虫や木の実でその舌を満足させることは出来ないだろう。 そしてれいむの役割である子育ても、その子供がまともに育て上げられる理由があってのことだ。食料は菓子類でなんとかできたとしても、それで赤れいむの舌が肥えたならばもうおしまいだ。 狩りで忙しいれいむは本来の育児を満足に出来ず、かまってもらえない子供は不満が溜まっていく。しかも頑張って狩ってきた食料は菓子類とは比べ物にならないほどまずいものしかないだろう。 れいむはやがて絶望するだろう。不慣れな狩りをしなければならず、舌を満足させられず、不平不満を叫ぶだけしか能のない子供を養わなければならない。 想像するだけで楽しくなってくる。これからあのれいむたちはどうなるのだろう? あのまま菓子類を喰いつくしてから、死ぬまで付きまとう不満足感に、れいむたちはどうやって狂っていくのだろうか。 あの親になったれいむが「おたべなさい」で自らの身体を子供に食べさせるだろうか。もしそうなったとしても、子供に生き延びる力は無い。 もう一度甘味を食べるために人間にお願いするだろうか。どうせ相手にされず、虐待派の人間に見つかって凄惨な最期を遂げるだろうか。 それともひょっとして、他のゆっくりを襲ったりするだろうか。もう一度まりさの甘さを味わうために。 明日、早速れいむたちの様子を見よう。僅かな菓子を何日で食い尽くすだろうか。その顔が絶望に染まるのは何日だろうか。いや、数時間もかからないかもしれない。 手ぬるい虐待方法だが、私はこういった方が好きなのだ。 とりあえず、今日のところはここまでとする。 ◆ れいむは夢を見ていた。 愛しのまりさや子供たちと一緒にゆっくりと過ごす夢だ。 広大な草原が広がる野原で、愛しのまりさと子供を作り、その子供たちが巣立つのを見送る、とても幸せな夢だ。 そんな、淡い夢だ。 このような稚拙な文章を読んでいただきありがとうございました。すごくぬるいいじめですね。 ではまたいつかどこかで。 by EGS